2024.06.30 10:00

ヨーロッパとアフリカを結ぶ海底鉄道トンネル、2030年の完成を目指す

ジブラルタル海峡は最も狭いところでは、ヨーロッパとアフリカ大陸の間に14キロメートルの間隔しかない。ここでスペインとモロッコを結ぶ高速海底鉄道トンネルの利便性を想像してみよう。このトンネルが実現すれば、マドリードからカサブランカまでの所要時間は5時間半に短縮できると予想される。現在の自動車とフェリーを使った12時間の旅や、2時間のフライト(空港までの往復を考慮に入れると、後者のほうがずっと長い)から大幅に改善されることになる。
スペイン・マドリッドの中心部 (Shutterstock)

スペイン・マドリードの中心部 (Shutterstock)

この高速鉄道は、マドリードを出発すると、イベリア半島南端のジブラルタル海峡にほど近いスペインの都市、アルヘシラスに停車する。それから列車はジブラルタル海峡下の海底トンネルに入り、スペインのプンタ・パロマとモロッコのマラバタ岬の間を走る。次に停車するのはモロッコのタンジェだ。それから最終目的地のカサブランカに到着する。

アルヘシラスとタンジェ間の距離は約42キロメートルで、海底トンネル内の軌道は約28キロメートルだ。トンネル内の最も深い地点は海面から300メートル、最大勾配は約3%になる。

これは二つの大陸を結ぶ史上初の鉄道路線となり、ワールドカップの重要性はともかく、二カ国のみならずさらに多くの国々の既存の鉄道網をつなぎ、切り開くことになるだろう。ジブラルタル海峡横断固定通信研究協会の提言によれば、最大で年間1280万人の乗客を二大陸間で運ぶことができる見込みだという。工費は不明だが、推定では70億ドルから80億ドル(約1兆1000億円〜1兆3000億円)になると見られている。

現時点では建設の開始時期や期限は決められていない。財源はおそらくホスト国のスペインとモロッコで調達し、欧州連合(EU)などから補助的な支援も得られるだろう。ヨーロッパ全土で高速鉄道の人気がかつてないほど高まっているこの時代にあってもなお、独創的で想像力に富み、興奮させられるこの計画は、成功する可能性が十分にありそうだ。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事