モビリティ

2024.06.24 11:00

「ロボタクシーの勝者」米ウェイモ、競合が倒れても順調に成長する理由

また、韓国の現代自動車が支援するMotional(モーショナル)も規模を縮小し、アマゾンの電動バンのZooxも商業運行をまだ開始できていない。さらに、トラックの自動運転を手がけるTuSimple(トゥーシンプル)やEmbark(エンバーク)、Ike(アイク)などのスタートアップも失敗または他社に買収された。

そんな中、ウェイモはゆるやかではあるが、着実に規模を拡大した。同社が、数十億ドルの投資を回収するのはまだ先の話になりそうだが、フリートの規模や運営エリアの拡大に伴い、収益の成長は急速に進む可能性がある。

この急成長の可能性が、テスラのイーロン・マスクが自社のロボタクシーサービスに注力する理由だ。しかし、現状のテスラの「完全自動運転」は、長時間の自動運転を人間の介入なしで行うことができない。また、テスラの運転支援機能のオートパイロットおよびFSD(フル・セルフ・ドライビング)に関連する複数の致命的な事故に対する当局の審査が、マスクの計画を複雑にする可能性もある。

マスクは、テスラが高価なLiDARやレーダーシステムを使用せず、カメラだけで自動運転をマスターできると主張しているが、密かにLuminar(ルミナー)から大量のLiDARを購入していたことを考えると、その点について迷いがあるのかもしれない。

ウーバーとの提携

アルファベットは、ウェイモの収益を決算報告で明らかにしておらず、その収益をインターネットや医療関連サービスを含む「その他の事業」に含めている。しかし、この部門で最も有望なのがウェイモだ。「その他の事業」の収益は2024年第1四半期に、前年同期比72%増の4億9500万ドル(約785億円)を記録したが、これは、ウェイモがサンフランシスコとフェニックスにサービスを拡大した時期と一致している。ロサンゼルスでのサービスは第2四半期に開始された。

ウェイモは、ライドの収益に加えて、かつて技術盗用で争ったライバルのウーバーとの意外な提携からも収益を得ている。現在、ウーバーのアプリを通じてウェイモのロボタクシーが利用可能で、フェニックスでは、ウェイモの自動運転車両がウーバーイーツの食事の配達を行っている。

中国製EVでフリートを拡大

一方、ウェイモが計画通りにフリートを拡大できるかどうかも課題となっている。同社は2022年に中国の吉利グループの高級電気自動車(EV)ブランドであるZeekrのEV車両を導入する計画を発表したが、米中間の緊張や、大幅な関税引き上げがこの取引を複雑にする可能性がある。それでもウェイモは計画を変更していないと、広報担当者のキャサリン・バーナは述べている。

現状でウェイモは、Zeekrの車両に自社のセンサーを搭載して人間が運転操作を行うテストを行っており、その後、「自動運転のためのWaymo Driverの統合と検証を開始する」とバーナは説明した。

同社はまた、ビジネスを慎重に拡大し、重大な事故や公衆の反発を避ける必要があることを認識していると述べている。ウェイモの共同CEOのマワカナは、「技術の段階的かつ持続可能な展開に焦点を当てています」とフォーブスに語った。

「当社は、この慎重なアプローチと革新的なAIテクノロジー、長年の経験を組み合わせることで、単に大きなビジネスを築くだけでなく、モビリティの新しい道を切り開くことができると確信しています」と彼女は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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