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2024.06.13 09:00

米GMが苦境の自動運転部門「クルーズ」で戦略的見直し、130億円を追加投資

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米ゼネラルモーターズ(GM)は6月11日、苦境に立たされている自動運転部門クルーズに8億5000万ドル(約134億円)を追加投資すると発表した。GMはこれまで80億ドル以上を同部門に投資し、ほとんど収益を上げられずにいる。

ニューヨークで開催されたドイツ銀行のグローバル自動車産業会議で、GMの最高財務責任者(CFO)のポール・ジェイコブソンは、この新たな投資がクルーズの「戦略的見直し」を行うためのものだと語った。

クルーズの広報担当のティファニー・テストはEメールによる声明で、同社がGMの継続的な支援に「感謝している」と述べている。

クルーズの自動運転車は、昨年10月にサンフランシスコで、別の車に轢かれた女性を約6メートル引きずる事故を起こして以来、苦境に直面している。この事故を受けてカリフォルニア州の規制当局はクルーズの運行許可を取り消し、同社は残りの車両の運行を自主的に停止した。クルーズは、今もカリフォルニア州での営業を再開していない。

その後、同社の新社長で最高技術責任者(CTO)のモー・エルシェナウィは、12月の社内向けのEメールの中で従業員に対し、同社が「以前よりもはるかにゆっくりと、より慎重で注意深いアプローチを取ることになる」と語っていた。

カーネギーメロン大学で自動運転を専門とするフィル・クープマン教授は、フォーブスの取材に「GMがクルーズに引き続き資金を投入するという決定は不可解だ」と語った。同教授は、GMがクルーズを売却する準備をしている、もしくは閉鎖する可能性があると指摘した。

「クルーズに、技術面で何か変化があったとは思えない。これからは、本当に大変な道のりになるだろう」とクープマン教授は述べている。

「監視付きの運行」を3都市で再開

クルーズは、先月から「監視付きのオペレーション」をアリゾナ州フェニックスとダラスで再開し、人間のドライバーが同乗するロボットタクシーのテストを、乗客を乗せずに実施している。同社は11日、このテストを第3の都市であるヒューストンに拡大すると発表した。

クルーズが昨年、すべてのサービスを停止して以来、グーグル傘下の競合のWaymo(ウェイモ)がこの分野のトップランナーの座を維持している。ウェイモは現在、フェニックスやロサンゼルス、サンフランシスコ、テキサス州オースティンでロボットタクシーの運行を行っている。

しかし、それでもクルーズのエルシェナウィは同社の将来に強気な姿勢を崩していない。「そう遠くない将来、自動運転車は私たちの交通システムの安全性と効率性を劇的に向上させることになる。ヒューストンがその改善を実証できる場所の1つであることを願っている」と彼は11日のリンクトインの投稿に記している。

一方、フォーブスは先月、クルーズの共同創業者のカイル・ヴォクトが、2023年11月に同社を退社した後、新たなロボット・スタートアップで1億5000万ドル(約234億円)を調達したと報じていた。

ヴォグトが退社して以来、クルーズは新しいCEOを任命していないが、エルシェナウィに加えてGM の幹部で弁護士のクレイグ・グリッデンがともに社長として同社を率いている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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