味の素が2023年11月に行なった調査によると、「『地味』という単語に対して抱く印象は何ですか」という問い(複数回答可)に対して、「目立たない、控えめ」(71.1%)というニュートラルなイメージの回答がトップだったものの、「堅実、地に足がついている」(23.2%)や「影の主役、周り(他者)を活かす 引き立てる」(11.2%)などポジティブなイメージも一定数見られる結果だったという。「退屈」というネガティブなイメージの回答は9.9%にとどまったことから、大多数の人は「地味」という言葉をニュートラルもしくはポジティブに捉えていることがわかる。
地味の対義語としては「派手」、今風だと「映える」も考えられるだろう。上記の調査では、「SNSでの『映え』や『盛り』に疲れや飽きを感じている人は7割以上」という結果も出ている。また、コロナ禍後は食品や衣服などを購入する際に「話題・トレンドのもの」や「華やかなもの」より、「暮らしに欠かせないもの」や「長く使えるもの」を重視する傾向も明らかになった。その理由としては、「一過性ではなく、本質的な価値を求めるから」(48.1%)や「表面上のものではなく、内面的なこだわりへの評価から」(28.8%)などが挙げられている。
確かに私自身も、コロナ禍の中で暮らしを見つめ直した結果、他人の目よりも自分の内面をより重視するようになった実感がある。まずは「何が自分にとって大切か、必要なモノか」をよく考えてから、消費行動に移るようになったのだ。そのような文脈で考えると、地味という言葉が堅実さや本質的な価値と結びつくものとして評価され、決してネガティブには捉えられていないという調査結果には納得感がある。
素材の味を引き立てて料理の安定感をアップさせる「地味調味料」
上記の調査結果を受けて、味の素は、料理の「影の主役」として縁の下の力持ちの役割を担っている調味料を「地味調味料」と命名。2024年6月12日には、タレントのゆうちゃみさんをゲストに招いて、地味調味料の魅力をアピールするイベントを開催した。地味調味料は、料理の中で目立つことはないものの、素材の味を引き立てて料理の安定感をアップさせる役目を果たすという。味の素の製品では、「ほんだし」「丸鶏がらスープ」「味の素KKコンソメ」がそれに当たる。
イベントで紹介されていて興味深かったのが、調味料のポジションを可視化した「調味料カオスマップ」だ。
これは、縦軸に「汎用性の高さ」と「専門性の高さ」、横軸に「味のベースとなる(影の主役)」と「その味になる(主役)」を設定し、様々な調味料の特徴を一目瞭然にしたものだ。たとえば「主役ゾーン」の「アクセントメンバー」は「1軍」が酢とケチャップ、「2軍」はバジルと粉チーズなど、ネーミングも記憶に残りやすいようによく考えられている。私は自宅で、あり合わせの食材を使って「名もなき料理」をサッと作る機会も多いのだが、味付けを考える際の参考にもなりそうだと感じた。
地味調味料を活用した時短キーマカレーを作ってみた
カレー好きの私が気になったのは、地味調味料を活用した「材料4つ!? だしが決め手のチキンキーマカレー」というレシピだ。料理研究家・管理栄養士のもあいかすみさんが考案したもので、イベントではゆうちゃみさんが調理にチャレンジしていた。材料は鶏ひき肉と玉ねぎのみ。調味料もほんだしのほか、ケチャップやカレー粉、はちみつ、おろしにんにくなど、どれも手に入れやすいものばかりだ。これらを耐熱ボウルに入れて混ぜたら、レンジで加熱するだけで出来上がり。火を使う必要もなく、調理時間約10分という時短料理でもある。
自宅で実際に作って試食してみたが、あっさりしていて優しい味で、とても美味しい。鶏ひき肉と玉ねぎの味がしっかり感じられ、煮込んでいないのに旨味やコクもある。辛さは控えめなので小さな子どもにも安心して食べさせられるし、物足りない人はチリパウダーなどを追加してもいいだろう。
時短でもしっかりと美味しい料理が食べられるのは、我が家のような共働きの家庭にとっては非常にありがたい。もちろん、ひとり暮らしでも自炊の腕が上がるのは良いことだろう。地味調味料に頼りっぱなしということにはならないだろうが、今後も活用してきたいと思う。
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▲丸鶏がらスープ
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