その後、包囲されていたロシア兵は集団投降し始めたようだ。ロシア軍もウクライナ軍も、それぞれ相手側の兵士らを日常的に捕虜にしているが、十数人単位というのはまれだ。大量の捕虜は、大規模な都市攻囲戦や、混乱した性急な撤退の際に出ることが多い。
たとえば、2022年2月にロシアが拡大した戦争の初期、包囲された南部の都市マリウポリで数週間持ちこたえていた数百人のウクライナ兵が、最終的に投降した。今年2月中旬には、東部の廃墟化した都市アウジーウカから撤退しようとして、数十人のウクライナ兵がロシア側の捕虜になっている。
双方とも完全に掌握できておらず、なおせめぎ合いが続くボウチャンシクで、これほど多くのロシア兵が一斉に投降したことは、ロシア軍の指揮官たちを動揺させているに違いない。ロシア側にとって、ボウチャンシクで泥沼にはまるというのは誤算だった。市の中央を流れる細い川を越えるための拠点を築く際に、何十人もの兵士を失うというのも、きっと想定外だっただろう。
ロシア軍が5月に北東部攻勢を開始したときに何を狙っていたにせよ、現時点でそれが達成されていないばかりか、部隊が前進を阻まれ、遮断され、投降を余儀なくされるなかで、最終的な成功の見込みもますます遠ざかりつつあるのは言うまでもない。
(forbes.com 原文)