「とんでもないです」の意味とは?ビジネスシーンでの正しい使い方と類義語・言い換え表現を例文付きで徹底解説
「とんでもないです」の意味とは?
「とんでもないです」は、相手から評価や感謝、褒め言葉を受けた際に、それを謙遜したり否定的に受け止めるために使われる表現です。 元々は「とんでもない」という言葉自体が「思いもよらない」や「とてつもない」というニュアンスを含んでおり、過度な評価や予想外の事態に対して驚きや否定を示す表現として使われていました。 そこに「です」という丁寧な形を付けることで、ビジネスシーンでも礼儀正しく謙遜の気持ちを示すことができます。
この表現は、例えば相手から「素晴らしいお仕事をされますね」と褒められた際に、「いえ、とんでもないです」と返すことで、自分がそれほど特別なことをしたわけではないことを示し、相手の褒め言葉に対して過剰にふんぞり返ることを避ける効果があります。 また、謝罪や感謝を述べた後に相手が恐縮するような場合、「とんでもないです、こちらこそ有難うございます」という流れで使えば、相手が恐縮する必要はないというメッセージを柔らかく送ることができます。
なぜビジネスシーンで「とんでもないです」を使う必要があるのか
相手への敬意と謙虚さを示す
ビジネスでは、相手との信頼関係が成果に直結することが多く、相互の敬意とバランスの取れたコミュニケーションが求められます。 「とんでもないです」は、褒められたり感謝されたりしたときに、自分が偉そうにならず謙虚に受け止める姿勢を示す言葉として有効です。 相手が「お世話になりました」と言った場合、「とんでもないです」と返すことで、「そんなに気を遣わなくても大丈夫です」という含みを持たせながら、相手が申し訳なさや借りを感じないように配慮できます。
過度な自己主張や自己評価の回避
評価や感謝に対して素直に「ありがとうございます」とだけ返すと、自分がその評価を当たり前のように享受している印象を与えることもあります。 一方で、「とんでもないです」と返せば、必要以上に自分を価値ある存在として誇示せず、相手が寄せる好意を一度軽く否定して謙遜することで、好印象を生み出せます。
「とんでもないです」を使う典型的な場面
褒められたときの謙遜表現
上司や顧客から「今回のプレゼンは非常に分かりやすかったよ」と評価された際、「いえ、とんでもないです。まだまだ改善の余地があります。」といった返しをすれば、相手にお世辞扱いされず、真摯な姿勢を印象付けられます。
感謝に対する謙虚な返答
クライアントが「いつも助けてくれてありがとうございます」と感謝を示したとき、「いえ、とんでもないです。お役に立てて光栄です」と返せば、自分が恩着せがましくないこと、相手へのサポートが当然の行為であるという姿勢を示します。
相手の恐縮を和らげる場面
相手がやたら恐縮しているとき、「いえ、とんでもないです、こちらこそ助けていただいております」と述べることで、相手が感じている過剰な遠慮や緊張感を和らげられます。 これにより、相手は話しやすい雰囲気を感じ、打ち解けやすくなります。
「とんでもないです」を使う際の注意点
過度な頻用は避ける
何でもかんでも「とんでもないです」で済ませると、相手が「この人はいつも同じ返事で、実際にはどう思っているのか分からない」と感じるかもしれません。 やり取り全てに「とんでもないです」を挟み込むのではなく、本当に相手の褒め言葉や謝意に対して謙遜したいときに使うなど、バランスが大切です。
相手の立場や関係性を考慮
ビジネスパートナーや顧客、上司など、目上の立場であれば「とんでもないです」と謙虚さを示すことは適切ですが、フラットな関係や部下に対して常にこれを使うと、妙に他人行儀な印象を与える可能性もあります。 適宜、他の表現と組み合わせて自然なコミュニケーションを保ちましょう。
「とんでもないです」の類義語・言い換え表現
「いえいえ」
「いえいえ」は、よりカジュアルな場面で相手の称賛や感謝に対して謙遜する際に使えます。 ビジネス場ではやや砕けた印象を与えるため、社内のフランクなやりとりや親しい同僚相手なら許容範囲でしょうが、公式な場では避けたほうが無難です。
「恐縮ですが/恐縮でございますが」
相手に謝意や謙虚さを示しつつ、別の依頼や提案につなげたい場合に使われます。「とんでもないです」は相手からの褒め言葉への反応が中心なのに対し、「恐縮ですが」は、こちらから相手に何らかの行動を求める際の表現で、用途が若干異なります。
「お言葉をありがたく頂戴します」
相手の褒め言葉や厚意に対して、あくまで感謝を示しつつ謙遜したい場合、「お言葉をありがたく頂戴いたします」と述べることで、相手の評価を喜びつつも過剰な自己満足に陥らない返答ができます。 これは「とんでもないです」よりも感謝や真摯な受容を明確に示す表現です。
「お役に立てて光栄です」
「お役に立てて光栄です」は、相手が助けられたと感じている場面で使える表現です。 「とんでもないです」と同様に謙遜を示す一方で、自分が相手の役に立ったことに対して光栄と述べることで、前向きな態度とお互いの利益を強調できます。
例文で理解する「とんでもないです」の使い分け
ビジネスメールでの応用例
件名:先日のご対応へのお礼
本文:
○○様 お世話になっております。
先日は迅速なご対応をいただき、誠にありがとうございました。
その際、貴社にご迷惑をおかけしたかと存じましたが、「とんでもないです」とおっしゃっていただき、こちらとしても大変助かりました。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。
株式会社△△ 営業部 ××
この例では「とんでもないです」を直接使うのではなく、相手がそう言ってくれたことを引用する形で微妙なニュアンスを示しています。
口頭での受け答え例
上司:「おかげで会議がスムーズに進んだよ。ありがとう。」 自分:「とんでもないです。少しでもお役に立てて幸いです。」 ここでは「とんでもないです」を素直な謙遜の表現として使用し、その後に別のフレーズで積極的な意味を添えています。
「とんでもないです」を使わずに対応するテクニック
異なる表現で細やかなニュアンスを伝える
「とんでもないです」の代わりに、「お役に立てて嬉しく思います」「ご期待に沿えたようで何よりです」といった形で、相手の褒めや感謝に対して謙遜しつつも、より前向きな印象を残せます。 このような表現は、相手が心理的に「引け目」を感じることなく、ポジティブな関係性へ進める効果があります。
感謝や共感を強調する
「とんでもないです」を避けるなら、相手の気持ちや立場に寄り添い、「そのようにおっしゃっていただき、大変励みになります」といった共感を示す表現で返すことも有効です。 感謝や共感を前面に出すことで、相手は自分の発言が受け入れられていると感じるでしょう。
まとめ
「とんでもないです」は、相手からの評価やお礼に対して謙虚な姿勢を示すための有用なフレーズであり、ビジネスシーンで多用される定型表現のひとつです。 ただし、単なる謙遜として「とんでもないです」を使うだけでは、相手に真の理解や感謝が伝わりにくいこともあります。 そこで、具体的な補足表現や類義語を活用したり、状況に応じて「お言葉をありがたく頂戴します」「お役に立てて光栄です」といった前向きなフレーズに置き換えることで、相手への敬意や好意を的確に示せます。
また、相手が初対面であるか、上司・顧客・同僚など関係性がどうであるかによって、この表現を使うか、または避けるかを判断することが求められます。 最終的には、「とんでもないです」をはじめとする丁寧表現を、相手や状況に合わせて適切に使い分けることで、ビジネスコミュニケーションに深みと円滑さをもたらし、良好な関係構築に寄与することができるでしょう。