経営・戦略

2024.06.06 09:30

グーグル、最高プライバシー責任者ら2名退社へ 組織再編の一環で

年間収益が3070億ドル(約48兆円)を超えるグーグルにとって、ユーザーデータは極めて重要だが、同社は近年、プライバシー保護の面で厳しい監視下に置かれている。

昨年12月下旬、グーグルは、ユーザーがシークレットモードを使用している場合でも、Chromeでユーザーの閲覧行動をトラッキングし続けているとして訴えられた50億ドルの訴訟で和解した。和解額の詳細は明らかにされていないが、同社は数十億件の記録を削除することを約束している。また、今週初めにニュースサイト404 Media は、グーグルの数千件にのぼるプライバシー侵害事件の記録が内部データベースから流出したと報じ、そこには2016年に同社がストリートビュー技術で誤ってナンバープレートの番号を収集していた事件が含まれていた。

人員削減で株主にアピールとの見方も

エンライトの退社は、グーグルのポリシーおよびプライバシーチームのより広範な再編の一環とされる。同社はフォーブスに対し、この再編はプライバシーポリシー業務を1つの部署ではなく、個々の製品およびエンジニアリングチームに移行させることを目的としていると述べている。

先月末にグーグルは、法執行機関や裁判所および一般市民からのユーザーデータ開示請求に対応する法務調査チームのメンバー数名を解雇した。同チームが扱う案件には、児童の性的虐待や誘拐の被害者に関する要請への対応、その他の法的コンプライアンスの問題が含まれている。

グーグルの社員でアルファベット労働組合の役員でもあるスティーブン・マクマティは、その際に、「グーグルの経営陣は、プロダクトの機能性を確保する仕事に従事する人々よりも、株主への短期的な利益の還元を優先している」と述べていた。

他のハイテク大手と同様にグーグルもここ1年半で大規模な人員削減を実施した。第1四半期末時点の同社の正社員数は18万人強で、1年前から5%以上減少している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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