アジア

2024.06.07 09:30

中国が半導体産業に7兆円越えの巨額投資、続く米国とのにらみ合い

輸出を規制する米国とまだ完全に足並みを揃えていない韓国も中国からにらまれている。高度な半導体を手がける韓国企業のサムスンやSKハイニックスの工場は中国国内にあるため、半導体戦争を繰り広げる米中が韓国を取り込もうと躍起になっている。韓国での半導体製造工場の建設計画は中国からの脱却を示唆しており、これも中国政府にとって懸念材料だ。

産業スパイ行為から国内製造への投資まで、米国による輸出規制を受けての中国の行動は、米国が意図した通り規制によってAI対応半導体のような重要な技術への中国のアクセスが制限されていることを示している。米国の措置が中国の野望を妨げている一方で、米国外の半導体サプライヤーとの関係構築や半導体装置のリースなど、中国がAI用の高度な半導体を入手する手法は他にもある。

中国がこのほど立ち上げた巨大な半導体ファンドは、米国に難しいジレンマを突きつけている。米国は主要同盟国から中国への重要な技術の移転を可能にする許認可の審査が緩いことを懸念しており、中国が利用できないようにしたいと考えている。それと同時に、米国が囲い込めば、中国が国内で半導体を製造して賄えるようになる方向へと進むことを助長する危険性がある。そうなれば、東アジアの平和を維持するという点で課題を抱えることになる。

これらの課題の中で最も深刻なものは、戦略的資産としての台湾の有用性が実際に低下し、結果として中国が政治的に利益を得る可能性があるということだ。米国が今後、半導体を制限する政策でどのような選択をするにせよ、世界中のあらゆるハイテク企業の経営や戦略が無関係ではいられないだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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