「災害に関する研究では、誤情報がSNSによって急速に広まり、訂正がすぐに追いつかず、先行した悪い情報が正されないことが多いことを示すものがかなりある」とランペはいう。「今回の裁判でもたらされている状況には災害の特徴が多くある。驚くような出来事で、非常に感情的、重大だがよく理解されていない、そして専門的で複雑ということだ」
意図的な偽情報
評決が出た後の支持者や批判的な人々の投稿の多くは突飛なものだった。単なる「誤情報」を間違いなく超えており、問題を混乱させ、怒りや反対意見をまき散らすことを意図した「偽情報」である可能性がある。「今回のケースは、人々が深く関心を寄せる選挙結果に影響を及ぼすため、誤ってではなく、意図的に流された悪い情報である偽情報を大量に目にすることが予想される」とランペはいう。「この問題のどちらの側のグループも、偽情報を利用して評決が大統領選に実際にもたらす影響を抑制したいと思っている」
こうした動きが秋の大統領選にどのような意味を持つかはまだわからないが、偽情報が政治に普通に組み込まれているロシアで最近行われた選挙が残念ながら参考になるかもしれない。
「ロシアでは多くのうそを広めて、何が真実で、何が嘘なのかわからなくさせ、その結果、人々が抵抗運動を展開できないようにするという戦略がとられている」と話すのは米アドバイザリー会社エンダーレグループのテック産業アナリス、ロブ・エンダーレだ。
「そうした戦略はプーチンが権力を掌握し続けるのに役立っている」とエンダーレはいう。「だが、これほど大がかりなうそで誤った方向に導かれた人々は合理的な意思決定をすることができない。戦略により有権者が自分たちの利益のために決断を下すことができなくなると、さもなければ選挙で選ばれず、おそらく排除されていた人々に恩恵がもたらされるため、民主主義の根幹が損われる。ロシアでそうだったように、選挙が重要な民主的プロセスから国家による茶番劇に変わる可能性がある。民主的に行われるようにする政府の能力を麻痺させるため、偽情報を広めることは反乱とみなされるべきだ」と指摘している。
(forbes.com 原文)