ロシアの今年の大統領選に対する活動は、2016年や2020年の大統領選挙に向けたものよりも「遅いテンポ」で発生しているとマイクロソフトは述べている。
同社の分析によると、ここ2カ月の間に、少なくとも70人のロシア人が、伝統的メディアとSNSの両方を使って、ウクライナ関連の偽情報を広めており、米国の世論をウクライナやNATOに敵対的なものにすることに注力しているという。
マイクロソフトは、この活動の背後に、複数のロシア系団体らが居ると見ており、その中には、2022年の偽情報キャンペーン、ドッペルゲンガーを行ったストーム1099と呼ばれる団体が含まれている。
同社によれば、これらのキャンペーンは、以前よりも中央集権的な性格を強めており、最も活発な活動家たちは、ロシア大統領府とつながりを持つ者たちだという。2016年と2020年のキャンペーンは主に、民間企業のインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)や、ロシア対外情報庁とより密接に関連していたとされている。
一方、そうしたキャンペーンへのAIの導入は、専門家が以前から懸念していたほど進んでおらず、関係者が予想したタイプのものとは異なるという。AIの出現により、ディープフェイク動画が大衆を欺くことが懸念されたが、マイクロソフトによれば、そのような試みはほとんど失敗に終わっている。
その代わりに、例えば偽のロゴを使った単純なフェイクニュース記事で人々を騙す事例が増加したという。マイクロソフトによるとAIは、ゼロからコンテンツを生成する場合よりも、既存のコンテンツを補完する場合により大きな影響力を持つという。さらに、AIが生成した動画よりも、音声の方が説得力を持つ傾向がある。また、有名な人物に関するコンテンツよりも、あまり知られていない人物に関するAI生成コンテンツの方が、視聴者を欺く可能性が高いことも報告されている。
米国は以前から、ロシアがSNSやその他のオンラインツールを使って米国の政治に影響を与え、特に選挙の直前に世論の分断を煽っていると非難してきた。こうした活動が初めて明るみに出たのは2016年で、ロシアが支援する団体が不和を煽り、ドナルド・トランプを支援しようとしていたことが確認された。
(forbes.com 原文)