食&酒

2024.06.09 16:00

世界一のウイスキー大国が生んだ、注目のシングルモルト

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は6月号(4月25日発売)より、「アムルット フュージョンシングルモルトウイスキー」。グラスから立ちのぼるウイスキーのやわらかな煙香と麦の甘みが、繊細なスパイスの味わいを引き立てる1本だ。


「ウイスキーが、お好きでしょ」という楽曲を使用したサントリーのコマーシャルが開始されたのは1991年だった。2007年に同社の角瓶がリバイバルされた折に、同曲が再使用されたことをきっかけに、日本におけるハイボール人気は爆発的に上がり、追ってジャパニーズウイスキーへの評価も高くなっていったのは周知の通り。今や日本産のウイスキーはスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダと並ぶ世界五大ウイスキーと称されるようにもなった。
 
一方、世界で最も多くウイスキーを生産しているのはまったく別の国だとご存じだろうか。世界で販売されているウイスキー銘柄ランキングの1位から4位を占め(ちなみに5位はジョニーウォーカー)、それもその多くがハイボールで飲まれるという国……それがインドだ。

「インドは過去に英国統治下にあったこともあり、もともとウイスキー文化が根付いている国。でも、現地でつくられているものの多くは廃糖蜜(サトウキビから砂糖を精製する際に出る副産物)からつくられた安価なもの。最近になってシングルモルトの高級品も登場し、インディアンウイスキーは多様化しています」と語るのはモダンインド料理店「スパイスラボトーキョー」でサービスを担当するモラレス モラレス ロドルフォだ。

「なかでも、1985年にインドでいち早くシングルモルトを生産したのがバンガロールの『アムルット』。インド産六条大麦とスコットランド産二条大麦の原酒をそれぞれブレンドし、標高が920mもある蒸留所でゆっくりと熟成させた『アムルット フュージョン』は、世界のウイスキー市場においても高い評価を得ています」

暑く、スパイシーな料理が多いインドでの飲み方はハイボールが主流だというが、この日、ふきのとうなど山菜の苦みを感じさせるドーサ(豆を発酵させた生地を焼くインド風のクレープ)に合わせて提案してくれたのは、ストレートをブランデーグラスで。丸いグラスから立ちのぼるウイスキーのやわらかな煙香と麦の甘みが、繊細なスパイスの味わいを引き立てる組み合わせであった。

インド料理といえばカレー、カレーに合わせるならやっぱりビール? シングルモルトならスコッチでしょ、と思い込んでいた先入観が次々と剥がされていく体験は、年齢を重ねればなお得難い。贅沢な時間にふんわりと酔った。

アムルット フュージョン シングルモルトウイスキー


容 量|700ml
度 数|50%
価 格|7226円(税込)
問い合わせ|ガイアフロー Tel:054-292-2555

今宵の一杯はここで

SPICE LAB TOKYO
唯一無二のモダンインディアンガストロノミー
「インド産ウイスキーの魅力を日本でもお伝えしたいですね」とアシスタントマネージャーのロドルフォ氏。

「インド産ウイスキーの魅力を日本でもお伝えしたいですね」とアシスタントマネージャーのロドルフォ氏。

インド料理といえばカレーという我々の固定観念を覆す、最先端のインディアンキュイジーヌを供するレストランとして2019年、銀座にオープン。世界のガストロノミーをインド伝統の料理法と豊富に使われるスパイスで昇華する革新的なインド料理をコース仕立てで堪能できるのが魅力だ。その“モダンインディア”な世界観を体現したグラマラスなインテリアも一見の価値あり。
ふきのとうを合わせたドーサは春のディナーコース(16000円)の一皿

ふきのとうを合わせたドーサは春のディナーコース(16000円)の一皿


SPICE LAB TOKYO
住所/東京都中央区銀座6-4-3
GICROS GINZA GEMS10F
電話/03-6274-6821
営業時間/11:30 - 15:00(LO13:30)、
17:30 - 22:30(LO20:30)
休/月曜(祝日の場合は翌火曜休)

写真=菅野祐二 文・構成=秋山 都

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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