2024.05.29 12:30

ハワイのバケーションレンタル、利用しづらくなる可能性

ハワイ・マウイ島のバケーションコテージ(Shutterstock.com)

米ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は5月初め、旅行者らに民家などを貸し出すバケーションレンタルの物件をハワイ諸島の各郡が長期住宅として活用できるようにする法案に署名した。

ハワイでは昨年8月にマウイ島西部ラハイナで発生した森林火事の影響で、手頃な価格の住宅が全域で不足しており、当局は対応に苦慮している。

郡がバケーションレンタルの許可を控えたり、長期的な住まいへの転換を強制したりすれば、バケーションレンタルの戸数と価格に大きな影響が出かねない。

マウイ島ではすでに状況が大きく変わろうとしている。マウイ郡のリチャード・ビッセン郡長は5月上旬、来年夏までに7000戸のバケーションレンタル物件を段階的に減らす意向を明らかにした。

手頃な住宅の不足に苦慮している他の島の自治体もマウイ郡に続く可能性がある。そうなれば、バケーションレンタルの戸数は大幅に減少し、当然のことながら利用料金も上昇することが予想される。

バケーションレンタルの戸数の減少幅によっては、ホテルの宿泊料金にも影響が及ぶだろう。

グリーン知事は、今回の措置がハワイをよりよい方向へと導き、地元住民の住宅不足を緩和すると確信していると述べた。現地では手頃な住宅の不足により島を離れる住民が相次いでいると報じられている

新法に反対する人々は、行き過ぎた措置であり、多くの住宅所有者に悪影響を及ぼすと考えている。だが当局者らはそうした主張に納得していない。

マウイ郡議会のケアニ・ローリンズフェルナンデス議員は「(反対する人々の)言い分は一貫して投資物件を守りたいというものだ」と主張。昨年の火災で家を失った住民に言及しつつ、「マウイ郡の住民は唯一の住まいを失っているのに、反対する人々は2軒目、3軒目、4軒目、5軒目の物件を守ろうとしている」と非難した。

マウイ島では新法の下での動きがすでに始まっているが、早ければ今年、他の島々でも同様の議論が展開されることが予想され、観光産業に影響が出る可能性がある。影響の程度についてはまだ見通せない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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