2024年4月、東京都、神奈川県、愛知県、京都府から始まった日本版ライドシェア。5月も地域を広げながら、全面解禁の検討が進められている。
タクシードライバーの最大ボリュームゾーンは70〜74歳(ニッセイ基礎研究所「高齢タクシードライバーの増加」)、求人有効倍率は一般企業の4倍、と高齢化が著しく、人が集まらない傾向にある。年齢だけを見れば、「タクシーだから安全」とは断言できない。
一方、時間や季節による需要の波があるため、安易に正社員ドライバーを増やせないという事情もある。タクシー特措法では、タクシーの過剰供給によるドライバーの賃金低下を防ぐために、特定地域で新規参入者や増車を制限しているのだ。
そのため、4月から始まったライドシェアは地域や曜日、時間帯を制限のうえ、稼働している。あくまでも、タクシーの不足を補完する役割を担う位置付けだ。
※参考:
NHK NEWS WEB:「ライドシェア」都内で始まる 料金は? 他の地域ではいつから?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240408/k10014415351000.html
タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ(川邊健太郎)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/231113/local_ref03.pdf
資料:全国ハイヤー・タクシー連合会
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001722469.pdf
日本版ライドシェアの意外な実態
現行の日本版ライドシェアは、海外版ライドシェアと実態が異なる。日本版ライドシェアのドライバーは現状、タクシー会社と雇用関係を結ぶパートタイマーなのだ。タクシーアプリ「Uber Taxi」を提供するウーバージャパンといえば「Uber Eats」を連想する人もいるだろう。Uber Eatsの配達員は、ギグワーカーとも呼ばれる個人事業主だ。会社に雇用されず好きな時間に働けるため、副業でも始めやすい。海外版ライドシェアの多くはUber Eatsに近い形を採用している。
日本版ライドシェアは普通免許、かつ自家用車で参入できるとはいえ、「スキマ時間」でできるさまざまな仕事と比較して、抜きん出て魅力的な条件とはいい難い。