規制緩和や拡大には慎重な姿勢が求められる
ライドシェアの運賃は現在タクシーと同等だが、需給バランスに応じた変動料金制度(ダイナミックプライシング)の導入が検討されている。タクシー業界からは規制緩和で参入の裾野が広がり、運賃が下がる懸念を不安視する声が大きい。しかしながら円安がつづき、インバウンドの機運が高まるなか、海外からの旅行客に対して交通に不便をさせない取り組みは必要だろう。
また過疎地域では、地域住民の買い物や通勤の足として一般ドライバーの活用が例外として認められてきた。ライドシェアの解禁を受けて、タクシー会社ではなく、自治体が管理するライドシェアの推進にも期待の声が高まっている。
タクシー業界からはライドシェアという解決策ではなく、ドライバーの賃金を上げる取り組みが必要という声も根強い。しかし2030年には人口の1/3以上が65歳以上になる。国全体の労働力不足が進むなか、どの業界においても賃上げだけでは労働力不足をまかないきれないだろう。
テクノロジーの力を頼りに、緩和と規制を繰り返しながら、ちょうどいい塩梅を見つけて行くほかないのかもしれない。
田中なお◎物流ライター。物流会社で事務職歴14年を経て、2022年にライターとして独立。現場経験から得た情報を土台に、「物流業界の今」の情報を旺盛に発信。企業オウンドメディアや物流ニュースサイトなどで執筆。