これらの企業は異なるセクターに属するが、時価総額は約1450〜1550億ドル(約23〜24兆円)と類似している。投資の決断は、自身の投資スタイルに合った特定の範囲内で、最良の銘柄を見つけることに帰結することが多い。
株価売上高倍率を見ると、ユニオン・パシフィックでは売上高の6.2倍、フィリップ・モリスは4.4倍となっている。ユニオン・パシフィックにはより高い倍率が付けられているが、これは直近の売上高の成長率と収益性において同社が若干優れているためでもある。
本稿では、今後3年間で期待できるUNPとPMのリターンについて議論したいと思う。そのために、この2つの銘柄の過去の収益成長率、株価リターン、バリュエーションなど、さまざまな要素を比較した。
株価パフォーマンス分析
UNPは2021年1月上旬の210ドル台から現在の245ドル前後まで約15%上昇したのに対し、PMは同期間に85ドルから現在の100ドル前後まで約20%上昇した。これに対してS&P500種株価指数は、この約3年間で40%の上昇を記録している。しかし、これらの銘柄の上昇は一貫しているとは言い難い。UNPのリターンは2021年に21%、2022年にマイナス18%、2023年に19%だった。PMのリターンは同期間に、それぞれ15%、7%、マイナス7%だった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、UNPとPMともに2021年と2023年にS&P500を下回っている。
私たちは両銘柄ともリターンを狙える水準であると考えているが、今後3年間で言えば、PMがUNPをアウトパフォームする可能性があると予想している。
成長性分析
ユニオン・パシフィックの売上高は、2020年の195億ドル(約3兆円)から2023年の241億ドル(約3兆7000億円)へ、年平均7.6%で増加している。一方で、フィリップ・モリスの同期間の売上高は287億ドル(約4兆5000億円)から352億ドル(約5兆5000億円)へ平均7.1%の成長率で拡大した。ユニオン・パシフィックのここ数年の増収は、パンデミックによる操業停止後に力強く回復した需要に起因している。さらに、同社は大幅な価格上昇を実現し、燃料価格の上昇などのコスト上昇分を顧客に転嫁することに成功した。2020年から2023年にかけて、同社の1両あたりの平均収入は18%増加し、総輸送量は5%増加した。
フィリップ・モリスは米国を除く世界中の市場でたばこ製品を販売している。収益は紙巻きタバコと、主力製品である加熱式タバコのIQOS(アイコス)の販売から得られる。2022年後半、フィリップ・モリスは160億ドル(約2兆5000億円)でスウェディッシュ・マッチの株式の90%以上を取得し、加熱式たばこ製品における地位を強化した。IQOSは力強く成長しており、フィリップ・モリスの成長を牽引している。実際、その売上高は紙巻たばこブランドのマルボロを上回っている。