![Tシャツは普段使いもできるデザインだ](https://images.forbesjapan.com/media/article/71032/images/editor/29d5af56f36cfe0555b203651a0354937b9c1c37.jpg?w=1200)
「信者」を獲得したSXSW
現地参加している時から、筆者はSXSWが熱狂的なファンを抱えている点に注目していた。SXSWは「信者」を抱える「カルトブランド」といえる。イベントとしては珍しい。なぜこんなにも愛される存在となったのか。彼らの成功は、カルトブランディングの枠組みで説明できる。カルトブランディングにおいて最も重要なのは、ブランドの文化を守り、顧客のエンゲージメントを高め続けることだ。文化とエンゲージメントは両輪であり、どちらか一方がおろそかになればファンは離れてしまう。
SXSWの文化の最たるものが、オースティン市内でよく目にする「Keep Austin Weird」というキャッチフレーズだと筆者は考える。直訳すると「奇妙なオースティンであり続けよう」となる。意訳すると「尖った存在のオースティンであり続けよう」となろうか。
![ダウンタウンのさまざまな場所で「Keep Austin Weird」のフレーズを目にする](https://images.forbesjapan.com/media/article/71032/images/editor/5438b4dfc75b8594c228f26fd8534852c9569a2f.jpg?w=1200)
![会場で展示販売されているクリエイターの作品](https://images.forbesjapan.com/media/article/71032/images/editor/c750fbbe1098bc50a0c199d67112a043d6f4cad2.jpg?w=1200)
![映画作品のポスター](https://images.forbesjapan.com/media/article/71032/images/editor/157dd84f1aff2a5d999915c911c8c6e866a22e44.jpg?w=1200)
カルトブランドの信者は、「非合理的な忠誠心」を示す。具体的には、金銭的な対価をもらってないにもかかわらず、自らブランドとの関わりを内外に示す行為だ。SXSWの信者らは、地元に戻った後も公式グッズに身を包み、SXSWのことを喜んで宣伝してくれる。ブランディングで重要な「口コミ」が自然発生するわけだ。
日本でも都市型のイベントが増えている。ただ、信者を獲得できているかというと、必ずしもそうではないと思う。まずイベントの文化を明確にし、その上で顧客が求めるものに応え、エンゲージメントを高め続ける。そうすれば、熱狂的なファンが生まれ、長く愛されるイベントとなるだろう。イベント関係者の方々に、SXSWの取り組みを参考にしていただけたら幸いである。