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2024.05.20 10:45

SXSWが「信者」を抱える超巨大イベントに成長した理由

特に北米のカンファレンスでは、早朝のランニングやヨガといった企画を時折眼にする。筆者はかつて米国のカンファレンス「コンテンツマーケティングワールド」において、早朝ランニングに参加した。3マイル(約4.8キロ)を走り、終了後はオリジナルの缶バッジがもらえた。連日参加していると顔なじみもできる。異国の地で心細い中、「ランニング」という共通の興味関心でつながれることは、この上なくうれしい。SXSWにおいても、ワークアウト系のイベントが朝から展開され、人気コンテンツとなっている。

さて、SXSWには「ミートアップ」と呼ばれるネットワーキング目的の交流会が多数用意されている。「テイラー・スウィフトのファン」「アジアのクリエイター」「イベントテック」など、興味深いカテゴリーが並ぶ。誰しも、少なくとも一つは参加できるカテゴリーがあるのではないか。筆者は勇気を出して「オーサー」のミートアップに参加。漫画家や脚本家と仲良くなり、リンクトインでもつながることができた。

貼り紙が貴重な情報源となる

貼り紙が貴重な情報源となる

ダウンタウンの各地で展開されるパーティーも、ネットワーキングに適した場だ。ただし、パーティーは数が多すぎて、どれに参加すればいいか判断が難しい。また、そもそもパーティーの情報を得る機会は少ない。

筆者は、貼り紙と口コミで参加するパーティーを絞った。会期中、ダウンタウンの至るところにパーティーやイベントのポスターが貼り出される。ポスターを見れば、おおよそどんな内容なのかが想像できる。「未来予測」がSXSWのカンファレンスの主要テーマのひとつだが、情報の届け方がアナログな点は興味深い。また、口コミも重要だ。筆者が参加したパーティーは、情報があまり出回っておらず、「シークレットパーティー」だったと思われる。パーティー主催者の一人から直接招待を受け、参加できた。こうしたパーティーは基本的に口コミで情報が広がっていく。

洗練されたデザインの力

SXSWほど、デザインの力を感じるイベントはない。ロゴだけでなく会場の装飾や写真撮影用の背景パネル、そしてフラッグ。どれもこれも隙がない洗練されたデザインだ。

SXSWのクリエイティブは洗練されている

SXSWのクリエイティブは洗練されている

極めつきは公式グッズである。ボールペンにマグカップ、バッグ、キャップ、Tシャツ、襟付きシャツ。カンファレンスのメイン会場などで販売されており、人気商品は会期中に売り切れる。筆者の参加してきたカンファレンスは、そもそもグッズの販売がないので、大勢の人が公式グッズを買い求める姿が新鮮に映った。

公式グッズはどれも実用性とデザイン性が高い

公式グッズはどれも実用性とデザイン性が高い

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文・写真=田中森士

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