リーダーシップ

2024.05.22 18:25

「えーと」と言わない Z世代のコミュニケーション特性

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接客やプレセンテーションなどのトークを定量的に評価するAIトーク検定を提供するソフトウェア開発企業コグニティは、同社のサービスを利用した企業の協力で、435本のトークを収集し解析を行った。これには新人研修のロールプレイングや実際の商談も含まれる。それによると、Z世代の営業トークでは、「えーと」とか「あのー」といったつなぎの言葉「フィラー」が他の世代の半分以下と極端に少ないなどの特性が明らかになった。それが、Z世代特有のコミュニケーションの課題を象徴している。

一般的に、トークに不慣れな人ほどフィラーが多くなる傾向にあるため、新人社員のZ世代でフィラーが少ないのは特異的だ。上司との会話では発言量が少なく(48.9パーセント)、話す速度が遅いという特徴もあり、言葉を慎重に選んでいるためだと思われる。しかし半面、自分の意思を十分に伝えられない。

言葉数が少なく質問への回答も他の世代よりも短いため、上司は戸惑い、話す速度が7パーセント落ちてしまう。「こそあど」言葉の数もZ世代との会話では増える傾向にあり、指示の意図が伝わりにくくなるという悪循環に陥る。さらに上司は、「はい」か「いいえ」かで答えられる「クローズ質問」を多発するようになる。平均26.5分間の会話で27.3回と、ほぼ1分間に1回はクローズ質問をしていることになり、会話が詰問調になってしまう。会話が成立しないために、上司は頭ごなしに指示を出したり、クローズ質問で指示が伝わったかを手っ取り早く確認しようとしてしまうのだろう。

セールストークにおいては、言葉が少なく説明が足りないZ世代に対して、相手側からの質問や話が多くなる傾向にある。セールスでは相手に話させるのは2割未満という鉄則があるが、Z世代は相手の発言量が24パーセントとなっていた。相手に多く話させることになる、「はい」か「いいえ」では答えられないオープン質問が増え、クローズ質問で明確な返答を引き出せない。

以上のことから、Z世代に対しては、上司はうまく言葉を引き出すこと、またセールストークでは、発言を多くしてしっかり説明し、その反応を確実に聞き取りクローズ質問へと話をまとめるスキルの訓練が重要ということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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