欧州

2024.05.18 08:00

英国が排除決定した「中国製監視カメラ」、撤去済みはまだ半分

木村拓哉
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ハイクビジョンの監視カメラ(VCG/VCG via Getty Images)

英国政府の各省庁は2022年11月、Hikvision(ハイクビジョン)やDahua(ダーファ)を含む中国製の監視カメラの使用を中止するよう命じられた。しかし、それから18カ月が経った今も、それらのカメラを撤去した政府機関は、全体の約半数にとどまっている。

これらの中国企業は、中国政府の出資を受けており、必要に応じて中国共産党とデータを共有する義務があると広く信じられている。

英国の内閣府は先日、これらの機器の撤去作業は、予定よりも早く進んでいるが、一部の監視カメラは来年の今頃まで残る可能性があると発表した。

「現在までのところ、機密性の高いサイトの大部分は、そのような機器を配備していないことが確認されている」と当局は述べている。しかし、問題のある監視デバイスが全面的に撤去されるまでには、あと1年が必要だ。

この問題は、中国のスパイ行為に関する最近の動きを考えると、特に深刻だ。例えば先日は2人の男性が中国政府への情報提供による公安秘密法違反で起訴されたばかりで、昨年は中国のスパイが英国政府の高官をターゲットとしていたことが発覚した。

そして、政府の省庁が中国製の監視デバイスの撤去を進めている一方で、地方自治体はそのような禁止措置の対象になっていない。内閣府のルーシー・ネヴィル=ロルフ大臣は最近、地方自治体にそれらのデバイスを撤去する義務はないと説明した。

ケント郡議会を含むいくつかの議会はカメラを撤去している。しかし、少なくとも20のスコットランドの自治体は、メーカーと中国政府とのつながりからセキュリティ上のリスクが指摘されている監視カメラを今だに使い続けている。

「世界中の多くの政府が、ハイクビジョンをはじめとする中国製のカメラや監視装置のリスクを認識し始めているにも関わらず、スコットランドの地方自治体が中国共産党の統制下にある企業の製品を使い続けているのは言語道断だ」と、香港自由委員会財団(Freedom in Hong Kong Foundation)のマーク・サバ事務局長は述べている。

内閣府は、問題となるカメラの撤去作業は予定通り続けられていると繰り返し述べている。「我々は、国民、システム、施設のセキュリティを極めて重視しており、そのプロセスの整合性を精査するために様々な対策を講じている」と、首相の広報担当者はフォーブスに語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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