英語を話す人にとっては幸いなことに、現地の言葉がわからなくても、何とか問題なく暮らせる国が世界中にある。だが、それでも第二の故郷の候補地としてまず検討したいのは、英語が公用語であり、他の言語ほど、さほど言葉の問題がなさそうな国だ。以下、候補の上位に入りそうな3カ国を紹介する。
ベリーズ
英国の植民地だったベリーズは中米で唯一、英語が公用語の国だ。国民のおよそ83%が英語を第一言語とし、さらにクレオール語やスペイン語も話す。言葉が通じることを大きな理由として、ベリーズを移住先に選ぶ米国人やカナダ人は多い。40歳以上の人は、「Qualified Retirement Program(適格退職者プログラム)」を通じて長期滞在許可を取得することができる。主な要件は、ベリーズ国外で毎月2000ドル(約31万円)以上の収入(年金給付など)があることなど。
そのほか、観光ビザを更新しながら、滞在を続けることも可能だ。12カ月間にわたって滞在すれば、永住権を申請することもできる。
マルタ
英国の植民地だったマルタは、英語とマルタ語が公用語。人口の約88%が英語を流ちょうに話し、法律もこれら2言語で制定されている。長期にわたって滞在する方法は、マルタに投資することで在留資格を得ること、永住権を取得することなど。その他の資格でも、合法的に5年以上滞在すれば永住権を申請することができる。
長期滞在している外国人の多くが取得しているのは、「Ordinary Residence Permit(一般居住許可)」。単身者で1万4000ユーロ(約240万円)、夫婦で2万3000ユーロ(約386万円)の資産を証明できること、年間183日以上マルタ国内に滞在すること、不動産を購入または賃貸契約しており、居住地を定めていることなどが、主な要件となる。
医療制度も充実しているマルタは、気候や自然の景観も素晴らしく、日中の気温は年間を通じて23℃前後。居住する外国人も多く、地元の人々はフレンドリーだ。
マイナス点を挙げるとすれば、面積が小さく、観光客に人気のこの国は、ビーチや道路が混雑すること。特に首都のバレッタは込み合うことが多い。
フィリピン
1521年以降、3世紀以上スペインに統治されたフィリピンの公用語は、以前はスペイン語だった。建築や食生活、人の名前などには、いまもスペインの影響が残っている。だが、1898年から1946年まで米国の植民地だったフィリピンの現在の公用語は、英語とフィリピン語だ。
フィリピン退職庁が長期滞在を希望する外国人向けに発給しているビザのうち、取得する人が最も多いのは「Special Resident Retiree’s Visa(特別在留退職者ビザ)」だ。
申請資格があるのは、50歳以上で毎月の年金受給額が800ドル(約13万円)以上の単身者、または1000ドル以上の夫婦。そのほか最低1万ドル(約155万円)相当をフィリピン国内の銀行口座に預金することなどが条件となっている(年金を受給していない場合は2万ドル)。