起業家

2024.05.15 13:30

ウイスキーでベンチャー起業!観光資源としての新たな可能性

ひとつは新しくウイスキーをつくる蒸留所が増えているというトレンドだ。2014年に創業したガイアフロー静岡蒸溜所や、もともと日本酒の造り酒屋である舩坂酒造店が新たに仕掛けた飛騨高山蒸溜所など、ウイスキーでベンチャー事業を起こすチャレンジャーが増えている。

新たな観光地が誕生

ゼロからの起業もあれば、日本酒や焼酎などの蔵元が新たにウイスキー事業に参入するケースもあり、面白いのはその両方が増えていることだ。しかも全国で同時多発的に起きている。特に焼酎などの蒸留酒づくりとウイスキー製造は技術的にも近いため、今後ますます参入が増えるだろう。供給過多になるにはまだ早く、ジャパニーズウイスキーの世界的な人気はまだまだ続くだろう。産業として進化する可能性は大いにある。
 
また注目したい連鎖のふたつ目は、この後の展開だ。スコッチウイスキーで有名な英国のスコットランドは、その人気に伴い蒸留所を目当てに観光客が増加。周辺の宿泊施設や飲食店など産業の裾野が広がったという実例がある。まさにウイスキー蒸留所は人流を生みだす観光資源になっており、これはそのまま日本にも当てはまる現象だろう。

ニッカウヰスキーの蒸留所がある北海道余市町は、観光客が激増していることですでに有名だ。このように日本各地で次々と立ち上がるウイスキー蒸留所の見学を目的にした新たな人流が生まれるはずで、それに導かれるかたちで新たな観光地が誕生するかもしれない。ジャパニーズウイスキーという観光資源が、人流が一極に過集中するオーバーツーリズム状態を分散させ、日本の新たな魅力を知ってもらう代表的なコンテンツになる日が来る可能性は十分にある。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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