音楽

2024.05.16 10:15

「BE:FIRST」「MAZZEL」を生んだSKY-HIが考える、理想のアーティスト像

音楽事務所BMSGの代表取締役CEOを務めるSKY-HI


日本がCD 偏重のビジネスモデルに依存した結果、どうなってしまうのか。SKY-HIは言う。「アイドルグループやアイドル的人気を博すアーティストと同じビジネスモデルで音楽を作っている方々は、マネタイズをCD に依存しているから、レコード会社からすると(今のストリーミング時代に)どうやって売っていったら良いかわからない」と。
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その結果、「ただ買うことが応援につながるとファンの方々に思い込ませて、その純粋な気持ちを搾取する形が確立してしまっている」と指摘する。これは「氷山に向かっているタイタニック号の状態」だと。

そこで同社は、4月24日にリリースしたBE:FIRSTのニューシングル「Masterplan」で新たしい取り組みをスタートした。CDに様々な特典をつけるのではなく、CDとは別に、これまでの“CD特典”と同様のグッズを販売することにしたのだ。以前までは何種類もあるグッズがCDにランダムに封入されていたり、店舗別にCD特典があったりしたため、グッズ目当てにCDを複数枚買うファンが多かった。

特典の別売りとともに、CDジャケットを紙製のジャケットに変更し、プラスチックの使用量の削減にも取り組んでいる。
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SKY-HIによると、これらの取り組みの目的はCDの売上を下げることではなく、枚数に対する社会的な依存をなくすこと。例えばBE:FIRSTのCDが売れることで最も利益を得るのは(全曲の著作権者である)SKY-HI自身だが、その張本人が“CD依存からの脱却”を発信することに意味がある。SKY-HIは「事態の切実さと日本の音楽業界への危機感を理解してほしい」と強調する。

“無駄と無理をなくしたいのです。CDを適切なかたちで届けながら、少しずつ日本の音楽業界のビジネスの構造を変え、世論を変え、新しい当たり前をつくっていくことを目指します“(「BMSGから音楽業界を持続不可能にしないための提言」より)

社会にポジティブな影響を与えられる存在に

現在、BMSGには3人のトレーニー(育成性)を含め、23人のアーティストが所属している。同社では“音楽業界を持続不可能にしないため”に、彼らのパフォーマーとしての成長だけでなく、人間としての成長もサポートしている。

ビジネスカンファレンス「Greeting & Gathering ’24」に参加した所属アーティストたち
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文=堤美佳子 編集=田中友梨 写真提供=BMSG

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