JWSTは、宇宙の観測範囲が比較的狭いため、単独のはぐれ惑星を見つけられない可能性が高いが、将来の望遠鏡ならその作業をこなせるかもしれないとプレイトは指摘している。
辺り一帯の小惑星は第一歩にすぎない
また一方では、地球上でアルゴリズムを用いることにより、望遠鏡から新たな観測データを取り込む必要なしに、地球のより近くからまったく新しい発見がなされている。米非営利団体のB612財団傘下の小惑星研究所と、グーグルが提供するクラウドコンピューティングサービスGoogle Cloudの共同研究チームは、過去の小惑星候補検出データ数十億件を最新のコードとクラウド技術で処理し、これまで未発見だった小惑星帯の小惑星3万個近くを検出した。この中には、100個以上の地球近傍小惑星が含まれている。Google CloudのCTOオフィスのテクニカルディレクターを務めるマッシモ・マスカロは「わが社は常にコンピューター演算の難題に好んで取り組んでおり、小惑星研究所から提供された複雑な非構造化データには、大量の計算処理、大規模な追跡要件、斬新なAI機能が必須だった」と説明する。
JWSTなどの最先端の望遠鏡とグーグルのようなコンピューター処理技術によって達成できることは、第一歩にすぎない。小惑星研究所は早ければ来年には、南米チリに新たに建設中のベラルービン天文台からの観測データとAIとGoogle Cloudを組み合わせて利用したいと望んでいる。
ベラルービン天文台の建設ディレクターを務めるジェリコ・イベジッチ博士は「ベラルービン天文台にとって、小惑星研究所の成果は心躍るだけにとどまらない。天文台の観測戦略を再最適化し、宇宙論的に重要な超新星爆発などの一部の科学プログラムへの恩恵を得る助けになる可能性があるもので、ルービン天文台をもう1カ所建造するのに匹敵する」と述べている。
結論としては、地上のコンピューター技術と次世代望遠鏡の組み合わせにより、かつてないほど詳細な宇宙像を描き出せるようになると大いに期待される。
(forbes.com 原文)