北米

2024.05.06 13:00

米警察の「調書の作成を自動化するAIツール」が批判される理由

ボストン警察の元警視総監で、現在は世界最大の企業調査・リスクコンサルティング会社Kroll(クロール)のボストン支社を率いるダニエル・リンスキーは、警察が捜査書類の作成にAIを使うのであれば、明確に定義されたポリシーや手順が必要になると指摘した。「監査プロセスが機能することが最も重要だ」と話す彼は、そのようなルールが守られれば、AIは警察官の事務作業の時間を削減し、より多くの警察官を街頭に立たせることにつながると語った。

「市民の安全を守るのは、オフィスで書類を書いている警察官ではありません」と彼は付け加えた。

アクソンの企業カルチャーへの批判

一方、今回のアクソンの製品発表会は、同社の企業カルチャーを批判する一連の報道から約1年後のタイミングで行われた。ロイターは昨年8月、同社の元従業員たちが、会社への忠誠心を示すために、会社のイベントで、テーザー銃を自らの身体に当てて感電したり、会社の入れ墨を入れることを強制されたと話していることを報じていた。

この報道についてスミスCEOは、それらの行為の強要があったことを否定し、「彼らが批判した私たちの行為は、一般的には私たちが誇りに思っていることです。この記事が掲載されてから、私たちのリクルート数は上昇しました」と述べていた。

ロイターはまた、昨年12月に、現在53歳のスミスが以前から語っている「高校時代の友人が射殺されたことがきっかけで警察向けのテクノロジー企業を設立した」というアクソンの創業秘話の大部分が作り話だったとも報じていた。彼はフォーブスの取材に対し、その被害者と親しくなかったことを認めたが、「面識はあった」と主張した。

しかし、この報道は、3月に316ドルを超える史上最高値を記録したアクソンの株価の下落にはつながっていない。同社は2月に、2023年の売上高が15億ドルで純利益が1億7400万ドル(約277億円)だったと報告した。

フォーブスは先日、ボルチモアやオーガスタを含む都市が、アクソンの事業の成長は市場の独占によってもたらされたと考えていると報じていた。4月初めに提出された訴訟の中で、彼らはアクソンが警察のボディカメラ市場を独占するようになり、その後不当に価格を引き上げたと主張した。アクソンは、この申し立ては根拠がなく、棄却されるべきだと反論している。
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警察向けボディカメラで圧倒的シェア、米アクソンの独禁法訴訟の行方

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編集=上田裕資

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