これは、アップルの共同創設者スティーブ・ウォズニアク氏の宇宙スタートアップPrivateer(プライベティア)を中心に、各国の宇宙企業や欧州宇宙機関などが参加して発足された国際プロジェクトチーム「Space Trash Signs」(スペース・トラッシュ・サインズ)によるもの。現在、宇宙ゴミの除去実験を軌道上で行っている日本のスタートアップ、アストロスケールも参加している。宇宙ゴミの星座は、6月に開催される国連平和的宇宙利用委員会の本委員会に向けて発表された。
新しく生まれた10個の星座は以下のとおり。
Broken Compass(壊れたコンパス)
Googleマップなどのナビゲーションサービスが使えなくなることを意味している。65億人(全人類)に影響を与える恐れあり。バミューダトライアングル上空に位置する。
Great 404(グレート404)
ウェブでページが見つからないときの404エラーに由来。衛星インターネット利用者約4300万人に影響。西アフリカ上空に位置する。
The Lost Harvest(失われた収穫)
環境データの喪失につながり、約5億平方キロメートルに影響。ペルー上空にある。
The Unavailable Forecast(予報不可)
気象衛星に損傷を加える怖れがある。65億人に影響。インド上空にある。
The Big Crash(大暴落)
国際的な金融システムに被害を及ぼす。北東アメリカ上空にある。
Rest in Space(宇宙の眠り)
NASAの宇宙管制センター上空にあり、宇宙飛行士の生命が危険にさらされる。
The Missing Parcel(紛失小包)
パナマ運河上空にあり、世界のサプライチェーンに影響を及ぼす。
The Last SOS(最後のSOS)
地震多発地帯である日本の上空にあり、世界の緊急信号を転送する通信衛星に被害をもたらす。
The Bars of No Service(アンテナなし)
世界でもっともスマホユーザーが多い中国上空にあり、通信やインターネットサービスに被害をもたらす。
The End of Discovery(冒険の終わり)
歴史的な宇宙基地で知られるカザフスタン上空にあり、宇宙探査に支障をきたす。
これらの星座はSpace Trash Signsのサイトでインタラクティブに見ることができる。それぞれに詳しい説明があり、除去にかかる費用も示されている。たとえば、壊れたコンパスは約1億2000万ドル(約1860億円)だ。星座を構成する各デブリの情報も見られる。壊れたコンパスを構成するSCOUT G-1DEBは、サイズは「Small」ながら除去費用は約1400万ドル(約22億円)となっている。これらの情報は、まるでゲームのモンスター解説のように楽しく読めるようになっている。
宇宙ゴミは、ライフルの弾丸の何倍もの速度で飛行しているため、当たれば人工衛星を破壊したり、人が乗った宇宙船では大事故になりかねない。「冒険の終わり」の解説には、このままでは地球が宇宙ゴミのカゴに覆われて人類は宇宙に出られなくなるとある。除去には大変な費用がかかるため、少しでも多くの人たちの理解と協力が必要だ。
プレスリリース