全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)は、映画製作においてこれまで生身の俳優が必要だったシーンの撮影で生成AIがエキストラの代替として使われる可能性があると主張し、WGAが交渉妥結に至った後もストを継続。最終的に、俳優のデジタル肖像を使用する場合は、撮影現場で本人が演じたのと同額の出演料をスタジオが支払うこと、プロジェクトごとに肖像の使用許諾を求めることなど、AIの使用方法を制限する条件で合意に達した。
しかし、クリエイティブ分野におけるAIの真の影響はまだほとんどわかっていないと専門家は警告する。
先週には、英国でミュージカル『マンマ・ミーア!』の主演で知られる舞台俳優サラ・ポイザーが、公共放送局BBCの番組での仕事をAIに奪われたとX(旧ツイッター)に投稿し、衝撃が走った。制作会社から、AI生成した音声の使用をBBCが承諾したため俳優本人はもう必要ないと告げられたという。BBCはその後、「非常にセンシティブなドキュメンタリー番組」の制作にあたり、死の間際にある人物の声を演じる俳優としてポイザーを当初起用していたものの、当人の家族の希望により、ポイザーではなくAIで本人の声を再現することになったと弁明。AI生成された声であることは「映像内で明確に表示される」と説明したと報じられた。
すでに複数のAI企業が、ソフトの訓練に作品を無断利用しているとしてクリエイターたちから訴訟を起こされている。作家のブライアン・キーン、アブディ・ナゼミアン、スチュワート・オナンは3月、米半導体大手エヌビディアの対話型AIプラットフォーム「NeMo(ニーモ)」の文章学習に著書を利用されたとして同社を提訴。昨年7月にはコメディアンのサラ・シルバーマンが、文章を要約するボットの学習に著書を使われたとして、OpenAIを訴えた。
マーガレット・アトウッド、ジェイムズ・パタースン、スーザン・コリンズら数千人の作家は昨年、AI企業各社に対し、作家本人の同意なしに著作をAIプラットフォームの訓練に使用しないよう求める書簡に署名した。
(forbes.com 原文)