音楽

2024.04.03 10:00

大物歌手ら200人超、AI開発での無断楽曲使用を非難 「創造性への攻撃」

遠藤宗生

2024年3月10日、第96回アカデミー賞授賞式で歌曲賞を受賞しパフォーマンスを披露するビリー・アイリッシュ(Rich Polk/Variety via Getty Images)

ビリー・アイリッシュやスティーヴィー・ワンダー、エルヴィス・コステロといった著名ミュージシャンを含むアーティスト200人超と、ボブ・マーリーやフランク・シナトラら往年の歌手の遺族が2日、人工知能(AI)技術の開発者らに対し、模倣プログラムの訓練やAIで生成した楽曲の使用を中止するよう求める公開書簡を連名で発表した。これらの行為は、本来アーティストに支払われるべき「ロイヤリティプールを希薄化する」と非難している。

米娯楽誌バラエティが最初に報じたこの公開書簡は、アーティスト・ライツ・アライアンス(ARA)の協力で作成されたもの。AI開発者、テック企業、デジタル音楽プラットフォームが、AIを活用することで作詞家やミュージシャンの仕事を奪い、「人間のアーティストの権利を侵害し、価値を下げる」活動を行っていると批判する内容だ。

書簡は、開発者らが既存の楽曲を使用してAIモデルを訓練し、「人間のアーティストの仕事を代替することを直接の目的とした」楽曲、サウンド、画像を作成していると指摘。こうしたAI生成素材が音楽業界に入り込むと、アーティストに支払われるべきロイヤリティ(使用権料)が希薄化すると主張している。

もし規制されないままなら、AIによって「われわれの作品の価値は低下し、公正な報酬を得られなくなる」とミュージシャンらは警告。AI開発者に対し、人間の作詞家や歌手の貢献に取って代わるようなAI音楽・作品を生成する技術を開発しないと誓約するよう求めた。

「この人間の創造性に対する攻撃を止めなければならない。プロのアーティストの声や肖像を盗み、クリエイターの権利を侵害し、音楽エコシステムを破壊するAIの略奪的な利用から保護しなければならない」と書簡は訴えている。

署名したミュージシャンは、ジョン・ボン・ジョヴィ、ビリー・アイリッシュ、ケイシー・マスグレイヴス、ブラザーズ・オズボーン、カミラ・カベロ、ゼイン・マリク、ジェイソン・イズベル、ケイティ・ペリー、ミランダ・ランバート、ニッキー・ミナージュ、ノア・カーン、イマジン・ドラゴンズ、ロザンヌ・キャッシュら200人余り。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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