欧州

2024.03.26 16:30

プーチンによる偽情報作戦、ソーシャルメディアで裏目に出る可能性

安井克至
これは、ロシア国民がまだ一部の外国のソーシャルメディアにアクセスできること、そしてSNSのTelegramを介してのソーシャルメディアの利用が増えていることからもわかる。

「Telegramは一部の情報の流入を許している」「だが、軍事ブロガーや政府関係者が今も宣伝のために使用しており、そのやり方は『うそつきの配当』のようなものだ」(シュミット)。

しかし、偽情報を広める行為は諸刃の剣だ。ウクライナに事件の責任をなすりつけようとするプーチンの試みは裏目に出る可能性があり、2年前のウクライナ侵攻や戦争の根拠が疑われかねない。

「ロシア政府は過去にもソーシャルメディアのチャンネルを利用して、自分たちに都合のいい筋書きを作ってきた。Telegram、特に『ウォー・オン・フェイクス』のチャンネルを利用して偽情報をさらに広めている」とアメリカン大学コミュニケーション学部のジェイソン・モリカ講師はいう。

このチャンネルは「ウクライナの偽情報」と呼ばれているものに対抗するために、起こったとされる出来事について偽の「事実」を提供することで知られている。

「国際人権団体フリーダム・ハウスによると、ウォー・オン・フェイクスのチャンネルは開戦以来6万2500人のフォロワーを獲得している。こうしたいわゆる政治チャンネルはロシア政府の宣伝を広めている」とモリカは続けた。「だがTelegramには事実に基づく戦争関連のニュースを共有するチャンネルもある。多くのロシア市民が、そうしたチャンネルでウクライナとの戦争に関する検閲されていない見解を得ていることは広く知られている。ウクライナが今回の攻撃をお膳立てしたという指摘にうなづく人がいる一方で、ISIS-Kの犯行だという情報を得る人も大勢いる」とモリカは話した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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