インド人リーダー 8つの強みと日本人のグローバル化への課題

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Gooleのサンダー・ピチャイCEO、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、IBMのアービンド・クリシュナCEOなど、世界的なテック企業のトップにはインド人が目立つ。なぜインド人リーダーはそれほど優秀なのか。日本人企業幹部はインド人リーダーに何を学ぶべきか。経営コンサルティングなどを行うコードが、日系企業で働く66人のインド人プロフェッショナルに、インド人の強みと日本人リーダーの課題を聞いた。

コードが実施した調査から、優れたインド人リーダーの強みが浮かび上がった。それは、最適解よりも満足解、持久的忍耐力、異質適応力、協調力、寛容さ、競争マインド、分析力、コミュニケーション力の8つ。それは、インドならではの5つの環境要因によって獲得されるという。

1つめは、カオスでダイナミックな生活環境。つねに変化する社会では、最適を追究するよりも自分が満足できる解に注力するほうがよく、それを達成するために持久力と異質適応力を学ぶ。2つめは多様性。22の公用語と100を超える言語、10種類の主要文字が使われているインドの大学には多種多様な学生が集まるため、互いの違いを認め合う異質適応力と協調性が備わる。

3つめは強固な家族親類関係。ファミリーの絆が強く大勢の親類のなかで育つインドの子どもは、協調性や寛容性を学ぶ。同時に、同年代の兄弟姉妹との切磋琢磨から競争マインドが育まれるという。4つめは学歴社会。「他国と比較にならない」という激しい受験戦争を生き抜くために、競争心と高度な分析力が身につく。5つめは英語ベースのSTEM(理系)教育。これにより、幼少時からコミュニケーション力と実用的な分析力が磨かれるということだ。

そんな彼らが見た日本人リーダーは、礼節、誠実さ、忍耐力はインド人に比べて突出して高いものの、分析力、協調性、コミュニケーション力、意思決定力がきわめて低いという。異なるタイプの人材をうまく活かし切れていないとの意見もあった。日本人が大好きな暗黙知や間接的コミュニケーションも障害となる。

だが、インド人プロフェッショナルの底力を生み出した社会環境を日本に再現するのは難しい。日本人がグローバル化を目指すなら、多様性、コミュニケーション、主体性といった問題を克服する必要がある。これらは日本人がもっとも苦手とすべき部分だ。現リーダーにそれは無理となれば、内部または外部からそうしたリーダーを登用することをコードは提案している。組織には「こういう人がリーダーになる」というパターンがあるが、そうしたロールモデルが偏っていると、組織全体のリーダーシップも偏る。だから望ましいリーダーのロールモデルを示すことが重要になる。当然、反発が予想されるが、それには多様性を重視した明確な経営メッセージの共有が重要だとしている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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