「ベトナムのEV王」が600億円を投じ充電ネットワークを整備へ

Photo by Nick Ut/Getty Images

ベトナムで最も裕福な人物として知られるファム・ニャット・ブオンが支援する企業が、今後2年間で10兆ドン(約600億円)を投資し、ベトナム全土に電気自動車(EV)の充電ステーションを建設しようとしている。

ベトナムの複合企業ビングループとEVメーカーのビンファストの支配株主であるファムは、彼が90%の株式を所有するVグリーン・チャージング・デベロプメントを通じてこの投資を行っている。

Vグリーンは、ベトナムのEVへの移行を加速させ、親会社のビンファストが世界中の市場でのEV販売拡大に集中できるようにするため、ビンファストから分離独立した企業だ。Vグリーンのグエン・ドゥック・タインCEOは声明で「ビンファストのインフラ投資の必要性を減らし、EVメーカーの急速な発展を最大限にサポートする」と述べている。

同社は、海外進出のためにビンファストの主要市場でパートナーを探している。Vグリーンは、将来的には他のEVメーカーにもインフラの提供を検討すると述べている。

フォーブスの試算で保有資産が44億ドル(約6600億円)のファムは、北米や欧州、アジア向けのEVの出荷を加速させるビンファストの拡大計画に資金を提供してきた。同社は昨年8月、香港のカジノ王ローレンス・ホーが支援する特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じ、ナスダックに上場した。しかし、ビンファストの昨年の納車台数は3万5000台未満で目標の5万台を下回っていた。

ビングループの会長を務めるファムは、不動産や小売、ヘルスケア分野の事業も手がけている。彼は1990年代初頭にウクライナでベトナム料理のレストランを開業し、起業家としてのキャリアを始動させた。レストラン事業が失敗した後、彼は即席めんの製造事業に乗り出し、2010年に推定1億5000万ドルでネスレに売却した。ファムはその資金でベトナムでの不動産事業を拡大させた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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