ヘルスケア

2024.03.10 13:00

若年層で流行する危険な「クロミング」とは? 有毒化学物質を吸入

Shutterstock.com

英国の11歳の少年が先週、有毒化学物質を吸入した後に死亡した。この行為は「クロミング(chroming)」と呼ばれるソーシャルメディアのトレンドで、専門家は脳損傷、心臓停止、さらには死に至る可能性があると警告している。

メルボルン王立小児病院によれば「クロミング」とは、娯楽を目的にマニキュア除去剤、ヘアスプレー、エアゾール式デオドラント、ライターオイル、ガソリン、ペイントシンナー、スプレーペイント、油性マーカーなどの危険な化学物質や物質を吸入することだ。

これらの吸入剤を高濃度に吸い込むと、短時間の「陶酔効果」が得られるが同時に「危険」であり、めまい、嘔吐、心不全、脳障害などを引き起こす可能性もあると、米国中毒センターは指摘している

『Journal of Drug and Alcohol Research』(ドラッグとアルコール研究)に掲載された2018年の研究によれば、有害物質の長期的な吸入の影響は、記憶の喪失、IQの低下、集中力の欠如、判断力の低下などを引き起こす可能性があるという。

より広く知られているクロミングには、俗に「ウィピッツ(whippits)」(「笑気ガス」や「ヒッピークラック」とも呼ばれる)と呼ばれる亜酸化窒素の吸入があるが、風船を膨らませるためなどに使用される亜酸化窒素を充填したボンベなどから吸入することは違法だ。

米国薬物乱用・精神衛生管理庁(Substance Abuse and Mental Health Services Administration、SAMHSA)の2017年の報告書によれば、2015年には12歳から17歳の青少年のうち68万4000人が有害化学物質を吸入したという。同年には、12歳以上でみると合計180万人が吸入を行っているが、吸入剤の使用は一般的には年齢とともに減少する。
次ページ > オーストラリアでも心臓停止

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事