アジア

2024.03.11 08:30

中国で「個人消費」が低迷、先行き不透明で貯蓄志向強く

不動産危機が消費低迷の最大の原因だ。不動産開発大手の破綻により、金融市場には疑わしい債務がかなり残っており、その結果、個人消費を促すような事業や雇用の拡大を支える力が弱まっている。特に、多くの世帯が破綻した不動産開発会社から前払いで住宅を購入したものの建設が止まったままのため、人々は住宅購入を敬遠している。建設は急減し、不動産価格は下落した。中国の世帯の8割ほどが家を所有しており、不動産価格の下落は世帯の資産を大きく目減りさせ、同時に消費を控えて貯蓄に回す傾向を生み出している。

かつて借り入れする世帯が多かったことも問題をさらに悪化させている。パンデミック前の好況期に不動産価格は急上昇し、多くの人が住宅ローンを組んだ。すでに住宅を所有し、その住宅価格の上昇で豊かさを感じていた人々は消費していた。今、その負債の大半は残っているが、担保となる不動産の価格は下落している。

加えて、政府が2022年末までとっていたゼロコロナ政策の負の遺産がある。この政策の下での恣意的とも思える施設閉鎖や都市封鎖、隔離により、中・低所得層の多くの人は自分たちの所得が以前考えていたほど確実なものではないことを痛感した。その結果、消費は落ち込んでいる。

こうした影響は今後も続くと思われる。ゼロコロナ政策が残した収入に関する不安は比較的早く消えるかもしれないが、政府は不動産危機に取り組み始めたばかりだ。解決までにはまだ時間がかかり、さらに多くの取り組みを要する。また、一連の問題とそれらが生み出した債務超過が消費者心理を好転させ始めるまでにはさらに長い時間がかかるだろう。中国は長く厳しい道のりを歩まなければならないが、今のところ個人消費の後押しはあまり得られない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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