NATO加盟には、既存の全加盟国が批准する必要がある。これまで、ロシアとの接触を保ち続けているオルバン・ビクトル首相率いるハンガリーが、スウェーデンの加盟に最後まで反対してきた。ところが米AP通信は、ハンガリー議会が188対6の賛成多数でスウェーデンのNATO加盟を可決したと伝えた。米ニュースサイト「アクシオス」によると、ハンガリーが一転して加盟を認めたのは、スウェーデンがハンガリーに戦闘機を売却すると表明したことが理由だという。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はX(旧ツイッター)に「スウェーデンの加盟により、私たちはより強く安全になるだろう」と投稿し、32番目の加盟国となる同国を歓迎した。スウェーデンのウルフ・クリステション首相もXに「きょうは歴史的な日だ」と投稿。「スウェーデンは欧州と大西洋の安全保障に責任を負う用意がある」と表明した。
スウェーデンはこれまで、200年以上にわたって軍事的な中立を保ってきた。同国は東西冷戦時代からNATOとの協力関係にあったが、軍事的中立の立場から、NATOには加盟しなかった。だが、ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻すると、国内の論調が変化。AP通信によると、ウクライナ侵攻以前は軍事的中立を保つことがロシアとの緊張を避ける方法だと考えられていたが、侵攻開始以降、安全保障を強化するためにNATOへの加盟を支持する世論が高まった。
昨年4月に加盟したフィンランドは、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2022年、スウェーデンとともにNATOへの加盟を申請した。
スウェーデンの加盟を巡っては、トルコとハンガリーが反対していた。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、同国がテロリストと見なす非合法武装組織に対してスウェーデンが寛容すぎるとの懸念を表明していた。ところがトルコ議会は先月、米国のジョー・バイデン大統領がトルコへのF16戦闘機40機の売却を承認するよう議会に要請したことを受け、スウェーデンのNATO加盟を認める法案を可決した。
米ニュースサイト「ポリティコ」は、ベルギーの首都ブリュッセルにあるNATO本部で、今週中にもスウェーデンの国旗掲揚式が行われると報じている。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先に、ウクライナ侵攻の目的の1つはNATOの東方拡大を阻止することだと語っていた。スウェーデンがNATOの32番目の加盟国になるというニュースに、ロシアはどう反応するだろうか?
(forbes.com 原文)