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2024.02.15 08:00

OpenAIが「軍事利用禁止ポリシー」を撤回、米国防総省に協力姿勢

国防総省は、行政分野から戦闘まで幅広いタスクを支援できる生成AIシステムを導入する意向を表明しているが、OpenAIなどのAI企業が自社ツールの軍事利用を可能にするかどうかについては疑問が残っている。

アンソロピックは、人に危害を加えたり人命の損失を目的にしたシステムの設計や販売などに関わるAIツールの利用を禁止している。広報担当者は取材に対し、「当社は武器や戦場管理に関連した用途に当社の技術を使用することを禁止している」と述べている。しかし、求人情報によると、アンソロピックは現在、「政府機関との戦略的な取引を確保することで、安全で倫理的なAIシステムの採用を推進するための政府パートナーシップの担当者」を募集している。

グーグル、マイクロソフトも国防に協力

ニュースサイトのThe Interceptが報じたところによると、OpenAIはこれまで軍事・戦争への利用を禁止していたが、今年1月にその文言を利用ポリシーから削除し、その姿勢を静かに軟化させた。同社は今でも、兵器開発に自社のAIツールを使用することを禁止しているが、昨年8月に発表された国防高等研究計画局(DARPA)が主催するサイバーセキュリティ・チャレンジへの参加に当たり、「当社のミッションに沿った国家安全保障上のユースケースを排除しない」と、The Interceptの取材に述べていた。サイバーセキュリティ・チャレンジの協力企業には、アンソロピックやグーグル、マイクロソフトも名を連ねている。

「我々は、これまで軍事利用を全面的に禁止していたため、多くの人はこのようなユースケースが禁止されると思っており、当社もその多くが禁止されるべきだと考えている」と、OpenAIのグローバル担当副社長であるアナ・マカンジュは、先月行われた世界経済フォーラムでブルームバーグに対して述べていた。マカンジュは、同社が国防総省とサイバーセキュリティや退役軍人の自殺防止を支援するための技術の導入について協議を開始したことを明らかにし、「現在は米国の国家安全保障機関との取り組みに注力している」と述べていた。

OpenAIは、同社が政府との取り組みで求めている具体的な機会についての質問には答えなかった。同社は、いかなる政府との契約も公にしていない模様だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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