タマカイは、クエと同じハタの仲間で、通常は体長2メートル、体重180キログラム程度にまで成長する世界最大の種類。体長3メートルのものが捕獲された記録もある。日本では沖縄で水揚げされ養殖も行われているが、数が少ないために東京あたりでは大変貴重だ。なにより、大変に美味だという。
都農町は、岡山理科大学、NTT東日本、NTT西日本と共同で、2022年12月より「水産業夢未来プロジェクト」に取り組んできた。2023年3月からは、実証用養殖プラントの7.4トン水槽2基を使い、タマカイとクエタマ(クエとタマカイの人工交雑魚)の人工海水による完全陸上養殖を実施。9カ月間の飼育で、クエタマは生存率が94.2パーセント、成長速度は沖縄県栽培漁業センターが行った養殖試験と比較して、271日目の体重が約3倍という好成績を収めた。
この試験では、岡山理科大学が開発した人工海水「好適環境水」と養殖プラントシステム、そしてNTT東日本グループのIT技術を組み合わせた設備を使用した。おかげで、飼育担当者は養殖の経験がまったくないにも関わらず、水質、環境、魚の状況などのデータ化と岡山理科大学の遠隔指導によって、前例のない高レベルな養殖が実現した。完全閉鎖循環式陸上養殖によるクエタマとタマカイの養殖成功は世界初という。
この成功を受けて都農町は、とくに成績がよかったタマカイの養殖に注力することを決めた。今後は、今回取得したデータを活用し、データ駆動型の自動制御とリアルタイム遠隔指導体制を構築していく。また、4月に竣工予定の加工場で、タマカイを都農町の特産品として商品化、販売、新たな地域ブランドの創出を目指すとのことだ。
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