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2024.01.20

NYの屋台からスタートした外食チェーン「ハラルガイズ」成功の秘訣

ニューヨークで人気の高いハラルガイズの屋台 (shutterstock)

3人のエジプト人男性が、米ニューヨーク市の53丁目通りと6番街が交差する埃っぽい通りで、ホットドッグの屋台を始めたのは1990年のことだ。その後、ホットドッグをやめて、市内を走るタクシーに多いイスラム教徒の運転手向けに、ハラルフードの販売に切り替えた。2014年、3人は初の実店舗をイースト14丁目通りにオープンさせた。

それから10年。この3人の起業家は、ほとんどの米国人がハラルフードが何なのか分かっていないという事実にもかかわらず、「ハラルガイズ」を全米で最も順調に店舗を増やしているフランチャイズ(FC)企業のひとつに成長させた。

ハラルガイズは世界に114店を展開するまでに成長し、そのうち100店舗は米国にある。成長の鍵は、107店舗がFCであり、直営店はわずか7店舗という、FCを増やす力にある。2023年には13店舗を新規に開店させたが、そのうち12店がFCである。そして2024年には12店ほど増える見込みだ。

創業者は社長のモハメド・アブーレニエン、副社長のアブデルバセット・エルサイード、財務担当のアハメド・エルサカの3人。そしてアハメド・アブーレニエンが最高経営責任者(CEO)を務める。

ギロ(ジャイロ)や牛肉、鶏肉、ファラフェルを専門とするハラルガイズは多くの米国人を虜にし、ハラルフードという新しいカテゴリーを形成した。

ハラルフードとは、特定の種類の食品のことではなく、イスラム教の教えに則った食べ物を指し、豚肉やアルコールの摂取は禁じられている。

3人は最初の店を自己資金で構えた。米中小企業庁(SBA)の融資プログラムもエンジェル投資家も使わず、3人が屋台で稼いで蓄えた金を元手にした。

オーナーの3人は、屋台の成功を再現できればレストランを繁盛させることができると思っていた、とハラルガイズの最高開発責任者(CDO)のマーガレット・カレラは指摘する。「屋台の運営は実店舗の10倍大変だった」。

ハラルガイズの料理は、鶏肉や牛肉、羊肉などのタンパク質に重点を置いているが、ファラフェルなどのベジタリアン料理、ライスや新鮮野菜のサラダもある。ほかに、牛肉のギロ盛り合わせや鶏肉の盛り合わせもあり、ライスとホットソースが付いてくる。

オーナーたちによると、FCモデルがうまく機能しているのは「現場での支援、戦略的な指導、継続的なサポート」を提供しているからだという。経営陣はFC加盟店を「パートナー」と見ているとカレラは指摘する。「システムや技術サポートなど、必要なものはすべて加盟店に提供したいと考えている」。

FC加盟者について、カレラは「料理に情熱を持ち、運営に携わる人」が理想だと言う。
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翻訳=溝口慈子

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