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2024.02.20 15:30

米司法省も高評価!自衛隊出身社長の「日本発AI企業の強み」

KIBITは、経済安全保障領域でも自然言語処理とネットワーク解析の強みを発揮している。有価証券報告書やIR情報などを基にサプライチェーンや株主支配ネットワーク、機微技術にかかわる研究者ネットワークなどの解析・可視化に成功し、特定の国家が株主として実効的に支配する企業の発見などに活用している。

守本の持論「人では取得の難しい膨大な情報を、AIを活用することで全体像をスピーディに可視化できる」という世界観をまさに実現したもので、三菱電機などの大手グローバル企業が採用している。このような情報機関レベルの成果は、今後、企業に求められる人権や環境にも配慮した戦略的意思決定をサポートするうえで、欠かせなくなるだろう。

現在、注力しているのがライフサイエンス領域だ。認知症の発症可能性が日記や会話など言語に表れることに注目し、問診での会話を解析して認知機能低下の有無や重症度を判定するAIを開発中だ。同時に、製薬会社から研究者を迎えて、疾患のメカニズムを探る仮説生成に特化したAI創薬支援サービスも進めている。

「AIは極めて強力なツールである半面、どの領域でも、人が理解できない解析結果は使えません。人が人に伝える言葉を見つけ出すことが最も重要です」と守本は言う。「最終的に目指しているのは、AI企業からの脱却です。AIで何ができるのかを提示する企業から、何かを実現するためにAIを活用する企業に変化していきたいです」


もりもと・まさひろ◎1966年、大阪府生まれ。1989年防衛大学校卒業、海上自衛隊の護衛艦で勤務。退官後、半導体製造装置メーカーのアプライドマテリアルズジャパンを経て、2003年にUBIC(現FRONTEO)を設立。

文=吉永ケンジ 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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