日本の菓子の魅力とは? NY発サブスク「Bokksu」社長に聞く

日本の流通菓子のサブスクサービス「Bokksu」

日本では、季節や歳時にちなんで実にさまざまな菓子が店頭に並ぶ。生菓子でも乾きものでもない、おみやげ品によく使われるような、数週間以上の賞味期限のある菓子。仮にこのジャンルを“流通菓子”と呼ぼう。

これらを20品近く箱に詰め合わせ、月1回家に届くというサブスクリプションサービスがアメリカをはじめ、世界約100カ国で人気となっている。費用は1回約7000円。決して安いとはいえないが、利用者は3万人を超えるという。

正月、花見、北海道祭り、沖縄パラダイスなど、催事や地方性に趣向を凝らし、テーマに沿って日本全国から集められた菓子が色鮮やかなボックスにぎっしりと詰められている。サブスクサービスの名前は「Bokksu」。もちろん、箱=BOXをもじったものである。2015年に始まった。

オーナーのダニー・タン氏は、スタンフォード大学を卒業後、早稲田大学に留学し、楽天で2年ほど働いた経験を持つ。その間に、日本の菓子に魅了されたのだという。

日本ではKALDIの成功例を見てもわかる通り、海外の菓子が依然人気を誇る。ルーツをたどれば、戦後の「Give me Chocolate」に端を発しているのだろうが、筆者も、バターフィンガー、キスチョコレート、M&Mなどがたまらなく好きだった。

しかし、タン氏は、「欧米のお菓子は、大手メーカーが作るものがほとんどで、長年味の変わらないロングセラー商品ばかりなんです。それはそれで、トラディショナルで懐かしさや好感は持ちますが、日本のように、次々と新商品が開発されたり、季節に合わせてフレーバーを変えたり、ご当地ものがあったりする国はありません。日本の流通菓子はわくわくするものばかりです」と話す。

この強みを活かし、なんとかビジネスにすることができないか。NYへ帰国後、真剣に考えたタン氏が思いついたのが、サブスクリプションという手法だった。

同社が取り扱う菓子は、主に地方の家族経営の小さなメーカーのもの。1Bokksuにつき、16品種、21~22ピースの流通菓子が詰められている。日本支社のスタッフが綿密にリサーチをして毎月100品ほどのリストを作り、その中から40品に絞り、実際にそれをNY本社に送る。それを、人種の異なる20人ほどで試食をし、その月に取り上げる商品を決めている。
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