マーケティング

2024.02.04 10:00

日本の菓子の魅力とは? NY発サブスク「Bokksu」社長に聞く

鈴木 奈央
「味覚はやはり、人種やライフスタイル、経験値によって、感じかたが違ってきます。海外でサブスクするからには、やはり、在住の西洋人、アジア人などが試食し、判断する必要が絶対にあると思っています。手がかかる作業ですが、この工程は必ず踏むようにしています」

実際のBokksuの利用者は、約8割がいわゆる白人、残り2割がアジア系やその他人種だという。

また、Bokksuにはそれらの菓子の概要や成り立ちから、産地の風土までが詳しく英語で書きこまれた手作りのリーフレットが添えられている。約15cm角、計24ページにも及ぶ懇切丁寧な小冊子は、見ているだけで日本各地を旅行したような気分になれる。

大手メーカーのものではなく、地方の流通菓子の発掘に力を入れるというのもタン氏の狙いだ。代々受け継いでいる技術の継承の支援を担うばかりでなく、菓子を通じた地方創生も見据えている。

実際、京都市内から1時間ほどかかる場所にある飴専門店に、インバウンドの客が訪れるなどの現象もおきていているという。顧客は味だけを楽しみにしているわけではなく、知られざる日本の文化に触れることに喜びの重きをおいているのだ。

2023年、もう一つのサービスとして、アメリカのサンリオ社の許諾を取り、キティちゃんのオリジナル流通菓子(日本のメーカーに受注)とブランケットやマグカップなどのグッズを詰め合わせたセットの販売も開始した。こちらはまだサービス開始から約半年で、会員は5000人ほどだが、こちらも3万人以上に増える伸びしろがあると、タン氏は手応えを感じているという。

「アニメが日本独自の文化として世界を席巻したように、日本の流通菓子には、クオリティ、オリジナリティ、可愛らしさのエッセンスを含め、世界的に認められる力があると私は信じています。その一端を、Bokksuがしっかりと証明したわけですが、ポテンシャルはまだまだこんなものではないと思っています」

日本人は、「海外で魅力を認められ、初めてその価値に気づく」ことが多いと言われるが、流通菓子の付加価値もまさにそのひとつだろう。小さなメーカーがその文化を受け継ぎ、その魅力を波及させていくためにも、今後の展開におおいに期待したい。

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