中国バイドゥが「AIを軍事利用」との報道、株価12%急落

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中国の検索エンジン大手バイドゥ(百度)の株価は1月15日、約12%急落した。これは、同社のChatGPTに類似した対話型人工知能(AI)ボットが、中国の軍隊に利用されていると報じられ、ナスダックと香港市場に上場するバイドゥに米国が制裁を科すかもしれないという投資家の懸念が高まったためだ。

ビリオネアのロビン・リー(李彦宏)が率いるバイドゥの株価は、12日のナスダック市場で7%急落した後、15日の香港市場で約12%急落した。これは、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が、人民解放軍(PLA)傘下の中国の研究機関が、バイドゥのAIチャットボットのErnie Bot(アーニー・ボット)を使って軍事情報を分析し、戦場での作戦や潜在的な結果を予測したと報じたためだ。

シンガポールを拠点とするDZT Researchのリサーチ責任者、ケ・ヤンは「バイドゥの投資家は米国による制裁を懸念している。すでに多くの軍事関連企業が制裁を受けている」とコメントした。

一方、バイドゥの広報担当者は、河南省鄭州市に拠点を置く研究所との提携やパートナーシップを否定し「報じられた研究プロジェクトについて、私たちは何の知識も持たない。当社の大規模言語モデルが使用されたのであれば、それはオンラインで公開されているバージョンだと考えられる」と述べている。

中国のAI分野のリーダーであるバイドゥは、2023年2月に初めてアーニー・ボットを発表し、昨年10月には、最新バージョンのErnie 4.0が、OpenAIのGPT-4と同等の性能を持つようになったと発表していた。アーニーは、8月に中国の規制当局が一般への展開を承認した後、1億アカウント以上のユーザーベースを確立している。

米国は、ファーウェイなどのハイテク大手に制裁を科し、軍事利用される可能性のある最先端の半導体の輸出を規制することで、中国の軍事テクノロジーの進歩を阻止しようとしている。バイドゥのAIボットと人民解放軍のつながりは、そのような両国の緊張関係が高まる中で報じられた。

米国の最先端チップの輸入を禁じられたバイドゥは、エヌビディア製チップを備蓄しているが、ファーウェイなどの国内のサプライヤーに代替品を発注しているとも報じられている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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