メディアアートの未来に触れる 日本で8回目の「MUTEK.JP」をレポート

イベントの参加者たちからは、発祥の地、モントリオールでのMUTEKも見てみたいという声が多くあがったという。オーストラリアで行われる「Ars Electronica」や、スペインの「Sónar」同様、MUTEKはメディアアートの最先端を体感できるイベントであるという認知が回を重ねるごとに高まっている。今回のMUTEKの手応え、そして今後は?

「感度の高い方が集まってくださっているという印象は例年あるのですが、メディアアートのファンだけでなく企業で働くかたからの注目を今年は特に感じました。同様にTouchDesignerのワークショップが告知2日で予約いっぱいになってしまうなど、若い世代の参加者が目立つ傾向には関心の高まりを感じます。MUTEKは、電子音楽とデジタルアートのフィールドに入りやすいプラットフォームを構築しているので、この点においては手応えを感じています。

2025年には日本でのMUTEKが10周年を迎えます。いまお話したことに加えて、グローバルなイベントであるMUTEKとしては日本人のアーティストが海外で注目され活躍していくための支援活動を強化し、アーティストを支えていきたいと考えています」(岩波)
TouchDesignerはリアルタイムな相互作用型のマルチメディアコンテンツのプログラミングツール。日本のTouchDesignerコミュニティで活躍する3名のクリエイターが講師となり、コンテンツ制作のノウハウを共有した。

TouchDesignerはリアルタイムな相互作用型のマルチメディアコンテンツのプログラミングツール。日本のTouchDesignerコミュニティで活躍する3名のクリエイターが講師となり、コンテンツ制作のノウハウを共有した。

ひとつ、課題もあったと岩波はいう。それは女性来場者が全体の30%だったこと。モントリオールほか他国では女性が多く訪れている。DEIの観点からも、今後は女性をターゲットに認知を高められるようなプログラムを用意していきたいと岩波は話す。この動きは、今後の女性の参入により日本のメディアアートが進化を加速させる可能性も感じさせるものでもある。

AIによる画像生成がハイライトされたかと思えば、2023年3月のGPT-3のリリースをうけ爆発的に自然言語処理の活用が広まるなど、テクノロジーの進化は加速する一方だ。2024年に開催される MUTEK.JPでは何が体験できるのか、それはまだ予想もできない。 

取材・文=青山 鼓

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