中国への半導体輸出規制
ホワイトハウスは昨年10月、中国に販売されるチップに対する新たな輸出規制を発表し、米国企業が設計した最先端のプロセッサへのアクセスを遮断した。この規制を受けてエヌビディアは、中国の顧客向けに、性能を落としたチップを開発する計画を明らかにした。同社は、中国でのビジネスに関して潜在的な政治的ハードルに直面する中、米政府と適切な関係を維持し、米国第一主義のアプローチを打ち出そうとしている。
調査会社フォレスターのリサーチディレクターであるグレン・オドネルは、フォーブスの取材に対し、「性能が劣る製品を出荷するという決定は通常、コストや部品不足を理由とするもので、国家安全保障上の懸念がその理由になることはない」と、エヌビディアの決定が極めて異例なものだと指摘した。その一方でオドネルは、エヌビディアの立場は非常に強固であり、中国への規制による売上への打撃は容易に吸収できると述べている。
一方、エヌビディアは政府の輸出規制を遵守しながら、それに対する不満も声高に述べてきた。昨年の数カ月間、同社は競合のインテルやクアルコムと共に、ワシントンでロビー活動を行い、政府に再考を促したと報じられている。同社の顧問弁護士であるティム・テターは、7月のニューヨーク・タイムズ紙の取材に、「政府の動きは、半導体やAIにおける米国のリーダーシップに大きな悪影響を及ぼしかねない」と述べていた。
国際関係学を専門とするリン教授は、「エヌビディアは、微妙なバランスの中で前に進もうとしている」と述べた。「彼らは、中国のタカ派に親中派だと思われたくない一方で、米国の国家安全保障を損なおうとしていると思われるのも避けたいと願っている」とリン教授は語った。
(forbes.com 原文)