スピード感を持って「AFEELAの新たな価値」を提案し続ける
AFEELAには、ソニーが開発する独自の音楽体験「360 Reality Audio」をベースにした車内音響空間が実装される予定だ。AFEELAの車内で映画や音楽の立体サウンドがどれぐらい「いい音・いい環境」で聴けるのか、筆者はそれだけでも楽しみだが「スマートEVの安全走行を立体音響システムが支えるような使い方」も川西氏の構想の中にはあるようだ。例えば走行中に後方から自動車が迫っていることを、音が鳴る正確な方向とともにすばやくドライバーに伝えるような立体音響の「役立つ使い方」があってもいい。ソニー・ホンダモビリティでは昨年秋に「AFEELA共創プログラム」を立ち上げて、外部のクリエイターを巻き込みながらAFEELAのプラットフォーム上で動作するアプリケーション、サービスのさまざまな可能性を追求している。メディアバーに表示するコンテンツ、車内パノラミックスクリーンのテーマ、マップ上の付加情報、アプリケーションのほかEVの「疑似エンジン音」など、さまざまな音のギミックをeモーターサウンドとして開発できる環境を用意した。
今後AFEELAは、走りの速さやモータ音の力強さなど従来の自動車の魅力と対峙させながらソフトウェアのアップデートによる新たなドライブ体験を提供するSDVの価値を伝えていかなければならない。川西氏は「新しいスマートEVの価値を早く見せて、体験できる環境を作りたい。得たフィードバックを糧にAFEELAを発売の時期までブラッシュアップし続ける」と意気込みを語った。
その際にAFEELAのユーザーインターフェースのように、プラットフォームのコアとなる部分については未来を見据えながら、時間を超えて変わらない価値を提案することの大切さについても川西氏は説く。もし今後、SDVの全盛が来ればスマホを買い換えるときのような感覚で、クラウドに上げたユーザーのパーソナライズドされた環境情報を継承して、買い換えたクルマにスムーズに乗り継げるような時代がくるのではないか。「私たちのようなSDVを手がける自動車メーカーは大変になりますが、その辺りは運用で何とかなるはず」と、川西氏は言葉に力を込めて語った。人とモビリティの関係を再定義しながら移動に革新をもたらすというソニー・ホンダモビリティが掲げるAFEELAのビジョンが、サービスを含めていよいよ本格的にその姿を現してきた。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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