キックボードは、米国ではスクーターと呼ばれている。この研究では、電動スクーター(Eスクーター)と通常のスクーターをまとめて分析対象とした。
1月9日に学術誌Journal of the American College of Surgeonsに発表された論文によると、スクーターが絡むけがによる入院件数は2016年から2020年にかけて約3倍に増加し、患者の半数以上が何らかの手術を受けていた。
また、スクーター関連のけがで入院した患者は、自転車のけがと比べて18歳未満である割合が高く(自転車が16.4%に対して26.7%)、手術を受ける割合も高かった(同48.1%に対して55.8%)。Eスクーター利用に関する年齢制限は、州によって異なり、テキサスやカリフォルニア、ジョージアのように16歳以上でなければならない州もあれば、ワシントンやコロラド、ケンタッキーのように年齢制限がない州もある。
調査期間中の自転車およびスクーター関連の入院にかかった年間総費用は、2016年の660万ドルから2020年には3550万ドル(約51億円)と、ほぼ5倍に増加したことも判明した。
しかし、適切な安全対策がけがを減らすのに役立つかもしれない。2022年の研究では、Eスクーターに乗っているときに頭蓋骨骨折を経験した子どもの87%がヘルメットを着用していなかったことが判明しており、米国消費者安全製品委員会は、利用者が常にヘルメットを着用することを推奨している。
Eスクーターは、電動モーターで走行するためより速く、より長時間の走行に適している。人気のEスクーターレンタル会社であるLime(ライム)とBird(バード)の車両は、それぞれ時速15マイル(約24km)と16マイル(約26km)で走行する。
ワイアードが報じたところによると、Eスクーターが最初に人気を集めたのは2018年で、レンタル企業が全米の都市に配備を開始した。それ以来、この市場は2022年に332億ドル(約4兆8000億円)近くにまで成長し、2023年から2030年にかけて毎年10%近く成長すると調査会社Grand View Researchは予測している。
Eスクーターは、その登場以来、安全上の問題や歩行者からの苦情により、全米の複数の都市が規制を導入している。ニューヨーク市は2023年6月、ハドソン川、イースト川、ハーレム川、ジャマイカ湾沿いの公園や小道での使用を認める1年間の試験的プログラムを導入し、禁止を解除した。
ハワイ州のホノルルは、以前は公道上でのEスクーターの利用を禁止していたが、2022年に解禁。テキサス州ダラスでは、歩道やトレイル、広場、制限速度が時速35マイル(約56km)以上の道路でのEスクーターの走行が禁止されている。イリノイ州シカゴでは、公園や歩道、ビーチ、特定のトレイルでの走行が制限されている。
(forbes.com 原文)