「拡散モデル」の採用
社員数25人のHeyGenは、MidjourneyやOpenAIのDall-Eなどの画像生成AIを支える技術である拡散モデル(Diffusion Model)の進化をすぐさま採用した。シューによると、動画用には独自のAIモデルを構築し、テキスト用にはOpenAIとAnthropic(アンソロピック)の大規模言語モデルを、音声用にはEleven Labsの製品を統合したという。HeyGen以外にも、テキストプロンプトを入力するだけで動画を生成・編集することができるツールを開発するRunwayやPikaなどのAIスタートアップが誕生している。これらの企業がクリエイターや消費者をターゲットにしているのに対し、HeyGenはビジネス市場を対象にしており、マーケティングやトレーニング、ハウツー動画に焦点を当てて成功を収めてきた。シューは、新製品のリリースによってユーチューブやTikTokのクリエイターを顧客に獲得することを期待している。
しかし、HeyGenにとって当面の最優先事項は売り上げを安定させることだ。シューは2022年行われたインタビューの中で、自社を動画制作版のJasperと表現した。AIコピーライティングツールであるJasperは、シリコンバレーのホットなスタートアップとして注目されながら、目新しさが失われてから収益が伸び悩んでいる。HeyGenは法人の顧客を増やしているが、その多くは企業との契約ではなく、企業に勤める人が業務で利用しているのが実態だ。同社は、11月に初めて営業担当者を採用し、2024年は人員を倍増させて企業との契約獲得に重点を置く計画だ。
HeyGenは今後、ライバル企業との熾烈な競争に直面することになるだろう。その中には、ロンドンに本拠を置き、ベンチャーキャピタルから1億5000万ドル以上を調達したAIアバターソフトウエアメーカーのSynthesia(シンセシア)が含まれる。
「HeyGenの製品は、AIによる動画生成が可能であることを理解している人の0.1%にしか浸透していないが、それだけ成長余地が大きいということだ」とグオは述べた。
(forbes.com 原文)