ダッシュトゥーンの創業メンバーであるSanidhya Narain、Lalith Gudipati、Soumyadeep Mukherjeeは、日本の漫画や韓国のウェブトゥーンといったアジア発のコンテンツが現在のコミック業界を独占していると指摘する。これらのコンテンツは世界中に熱狂的なファンを持つが、欧米のコミックにもシェア拡大の余地は十分にあると、同社のCEOを務めるNarainは主張する。
「欧米でも、日本と同じようにコミック制作を巨大産業にできるはずだ。そのために重要なのは、クリエイターのコミュニティを作ることだが、それは非常に困難だ」とNarainはいう。彼によると、日本はコミック制作の文化やスキルを数十年かけて培っており、欧米が追随するのはかなり難しいという。
ダッシュトゥーンは、テクノロジーを用いてこの課題を解決できると考えている。同社は、生成AIをはじめとする最新技術を活用し、クリエイターが作品のアイデアを高品質なコミックに変換できるプラットフォームを構築した。クリエイターがこのプラットフォームに物語の内容と主要な登場人物に関する情報を提供し、ストーリーボードを示すと、ダッシュトゥーンのテクノロジーが高品質なコミックに変換する。でき上がった作品を編集すれば、出版の準備が整う。
「我々は、コンテンツ制作における従来の障壁を打ち破り、誰でもデジタルコミックを制作することを可能にした」と、ダッシュトゥーンのCTO(最高技術責任者)であるMukherjeeは話す。彼らは、米国をはじめとする欧米のクリエイターは優れたアイデアを持っているが、コミックに仕上げるだけの芸術的スキルを必ずしも持ち合わせていないと考えている。
クリエイターにとってもう1つの難題は、コミック制作に要する時間だ。ダッシュトゥーンは、コミックの1話分を制作には通常は40~50時間を要するが、同社のプラットフォームを使えば5~6時間に短縮できるという。多くのクリエイターは、すでにストーリーを書き上げているので、それをプラットフォームにアップロードし、編集するだけでよいという。