彼はその証として、自身が設立したHeyGen(ヘイジェン)の成長を挙げる。2022年9月にAIを活用した動画作成アプリをリリースしたばかりの同社は、年間経常収益が2023年3月には100万ドル、同年10月には1000万ドル、そして同年11月末の時点では1800万ドル(約26億円)に成長したという。
ロサンゼルスに本拠を置くHeyGenは11月29日、サラ・グオが設立したベンチャーキャピタルConviction Partners(コンヴィクション・パートナーズ)の主導で560万ドルを調達したと発表した。このラウンドにおけるHeyGenの評価額は7500万ドル(約107億円)に達した。
同社は同時に、カスタムのAIアバター(自分そっくりな分身)を簡単に作成できる新製品も発表した。スマートフォンで撮影した写真を使って、わずか5分でAIアバターを生成できるものだ。
シューと同社の最高プロダクト責任者のウェイン・リャン(Wayne Liang)は、共に上海の同済大学とカーネギーメロン大学の修士課程で学んだ仲だ。2人は卒業後に米西海岸に移り、シューはスナップに就職し、リャンはTikTokの親会社バイトダンスでプロダクトデザイナーを務めた。
シューは、2020年に中国に帰国した際、新型コロナウイルス対策の出国制限によって国内に留まることを余儀なくされた。同年末にスナップを退職してHeyGenを立ち上げると、セコイア・チャイナやZhenFundなど、中国の大手ベンチャーキャピタルからの出資を獲得した。
その後、米中間の緊張の高まりによってテック業界の状況は大きく変貌した。セコイアが中国事業を分離したのは、その象徴だと言える。こうした中、シューは会社のためにロサンゼルスに戻ることを常に考えていたという。HeyGenは、2022年の製品リリース以降、欧米市場に焦点を当ててきた(シューによると、中国では同社の製品は禁止されている。理由は不明だが、中国政府がChatGPTを規制したのと同じ理由と推測される)。
「この1年半で地政学的状況は劇的に変化した。シューは、投資家やユーザー基盤、データセンターに対する考えをはっきりさせ、政府の影響を受けないという確固たる姿勢を示した」。HeyGenに出資したConviction Partnersのグオはこう話した。