教育

2023.12.19

日本人コーチがスタンフォード大で考えた、慶應義塾優勝とスポーツバカの「未来」

gyro / Getty Images

最初にお断りしておきたい。この記事には「バカ」という、あまり好ましくないといわれる表現が含まれている。もちろん、読者の面々の気分を害すことは本意ではないため、前提として、筆者が「改善して欲しい、考えて欲しい」という一種の「愛」を持って論じていることのあらわれであるとご理解を頂きたい。

逆衝撃だった?「Enjoy Baseball」

2023年の夏、日本のスポーツ界・野球界に衝撃が走った。慶應高校の全国制覇である。そしてその数カ月後には、慶應大学も東京六大学リーグで優勝を飾っている。

「Enjoy Baseball」は、筆者に言わせれば、むろん野球にかぎらず、「スポーツ」という本の1ページ目にあるフレーズだが、長い時間練習すること、競技以外のつまらないルールを強いられて高校生活を送っている球児たち、そして高校野球界には衝撃であったはずだ。伝聞ではあるが、慶應高校の野球部員達は、髪型も強制されず、練習時間を限定し、練習のメニューまで自分たちで考えるオペレーションをしているそうだ。非効率極まりない練習方法や、時代錯誤のルールを強制されているケースが横行する高校野球界にこのような新たな風が吹いたことは、筆者にとって今年一番の好ましいニュースだった。なぜなら筆者はかねてから、以下のような「スポーツバカ」を減らす運動を展開してきたからだ。

・その競技しかやらない

・その競技しかやらせない

・その競技をやることを強いられている

さてここで、読者の皆様、そしてあなたたちの周辺にいるかもしれない「スポーツバカ」「野球バカ」達と、特にそれを強いている親御さんや指導者達に問いたい。慶應高校・慶應大学の野球部が、日本スポーツ界特有のルールに縛られず、練習時間や期間も極力少なくして効率や個人の時間を重視・尊重して最大の結果を出す姿を見て、あなた達はどう思ったか?

もちろん、それを強いられている感が高い子供達の責任ではないことは明白であるが、世の中にはもう少し効率の良い「ゴールの達成方法」が明らかに存在するのに、なぜその方法を採用しないのか?
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編集=石井節子

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