FPVドローンは目標に突っ込んで爆発するので、いわば使い捨てになる。500ドル(約7万4000円)のFPVドローンに300ドル(4万4000円)の赤外線カメラを追加するのは、ウクライナの1000km近くにわたる前線で両軍とも1日に何百機ものFPVドローンを消費している以上、財政的にも兵站上も大きな課題になる。
しかし、繰り返し使用するドローンなら、小型赤外線カメラのコストは見合うものになる。ウクライナ軍が、1機1万2000ドル(約180万円)する「カジャン(コウモリ)」のような重量級のヘキサコプタードローンに赤外線カメラを搭載するのは、理にかなっているということだ。
日が沈み、FPVドローンが基地に戻ってくるころ、バーバ・ヤハは飛び立っていく。あるロシア兵は、最近あったバーバ・ヤハの襲撃の結果を撮影した動画を投稿している。その中でこの兵士は、大破した2台の車両のそばを歩きながら、地面にあるRPG(ロケット推進式擲弾)の不発弾頭を映し出している。「これが俺たちに落とされているものだ」
Krynky. Ukrainian "Baba Yaga" deleting Russian vehicles at night. 3 December, apparently.https://t.co/hU50samf7m pic.twitter.com/s4lCVNtHzL
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) December 3, 2023
バーバ・ヤハはうるさいとも伝えられる。彼女がやって来るときにはロシア兵たちも気づくのかもしれない。
もっとも、バーバ・ヤハの音が聞こえるのと、バーバ・ヤハを飛べなくするのは別のことだ。「問題はわが軍の電子戦機器が存在しないか、彼ら(ウクライナ側)がまったく問題にしていないことだ」と前出のロシア側観察者は述べている。
「(無線妨害用の)スーツケースはあり、かなり優れたものだということだ」とこの人物は伝えている。もしクリンキのすべての家屋、ロシア側が支配する樹林帯に電波妨害装置が設けられ、ウクライナ側のドローンを妨害するがロシア側のドローンは妨害しないように、タイミングよくオン・オフを切り替えられるなら「おとぎ話のように(うまく)いくのだが」とも続けている。
おとぎ話は現実ではない。しかし、ウクライナ軍のバーバ・ヤハのほうはありありと存在し、活動している。
(forbes.com 原文)