『Global Carbon Budget』で発表された調査によると、世界の化石燃料による炭素排出量は今年、368億トンになると予測されている。これは2022年から1.1%の増加だ。
90以上の大学からなる国際的な気候研究者チームによってまとめられたこの報告書は、気候変動による最悪の影響を回避するための時間が「急速になくなりつつある」と判断している。
EUと米国がそれぞれ7.4%と3%という大幅な排出量の削減を達成したにもかかわらず、この世界的な増加は起きている。
一方で、インドからの排出量は8.2%の増加、中国からの排出量は4%の増加が予測される。
Global Carbon Budgetによると、過去10年間の炭素排出量はほぼ横ばいになっている。2022年と比べても1%増加しただけで、世界的に顕著な増加は見られなかった。しかし、専門家たちは、世界の気温上昇を(産業革命前から)平均1.5℃という基準値に確実に抑えるためには、この排出量の安定では不十分だという。1.5℃の基準値を越えると、地球は気候変動による不可逆的なダメージを受けることになる。Global Carbon Budgetでは、世界がわずか7年以内に1.5℃の基準値を超える可能性は50%と推定している。
イースト・アングリア大学環境科学部のコリーヌ・ル・ケレ教授は、毎年の排出量の動きは気候変動を抑止できるほど「深いものでも広範なものでもない」と指摘している。「気候変動による深刻な影響を避けるために、すべての国は現在よりも早く経済を脱炭素化する必要がある」とル・ケレは言う。
この調査報告は、「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議」(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)で開催されるのに合わせて発表された。COP28の議長を務めるスルタン・アル・ジャベールは、UAEの国営石油会社および代替エネルギー会社のCEOであり、会議が始まって以来、激しい批判にさらされてきた。先週リークされたメモによると、アル・ジャベールはこの会議を利用して、石油と天然ガスの取引をさらに進めようとしていたようだ。UAE時間の12月3日には、アル・ジャベールが11月21日にSHE Changes Climateサミットで行った発言が、さらなる批判を浴びた。アル・ジャベールは、「化石燃料の段階的廃止が1.5℃を達成するという科学的根拠もシナリオも存在しない」と発言したのだ。これはガーディアンが最初に報じた。COP28議長の信念は、国連が表明している基準値達成の立場と真っ向から対立しているようだ。
国連事務総長のアントニオ・グテーレスはCOP28での講演で、「科学的には明らかです。1.5度の基準値は、最終的にすべての化石燃料の燃焼を止めなければ達成できません」と述べた。「削減でもなく、抑制でもなく、段階的に止めるのです」。
(forbes.com 原文)